「運動会でリレーの選手に選ばれたけどあんまり足が速くない!」
そう悩んでいるあなたに朗報だ!
今回は短い練習でも必ずリレーのタイムが上がる
バトンパスのコツを伝授しよう。
本日の質問

内川
こんにちは、
陸上アカデミアの内川です。
今日は足が速くないのに
リレーの選手に選ばれてしまった方からの質問に回答していきます。

あなた
【4✕100mリレーを速く走る方法】
ぼくの学校は5月に運動会があります。
リレーのアンカーに選ばれたのですが(自分の意思ではないです)
走るのが得意ではありません(;一_一)
ですが、ぼく以外の3人はかなり走るのが速くて、
その3人までは多分1位をキープすると思います。
3人に迷惑はかけたくないのですが、
他のチームのアンカーはみんなかなり速いです(;一_一)
1週間と短い期間ですが、少しでも速く走れるようになりたいです。
何か良い方法はありませんか?
ちなみに50m7.5秒、中3♂です。
よろしくお願いしますm(__)m
今日はこの質問に回答していきます。
まとめると
- 中学3年男子
- 50mは7″5
- 4✕100mリレーのアンカー
- おそらく1位でバトンをもらう
ですね。
ではここから回答していきます。
結論
【今日の結論】
リレーが速いとはつまりバトンが移動する速度が速いことなので、
加速の乗った状態でバトンを受け取る。
ではなぜ「リレーを速くするなら
バトンの受け渡しを早くするべきだ」という回答になるかを解説します。
→ 運動会の全員リレーのために
バトンパスの練習をすると優勝できる理由
リレーの速さは走りとバトンパスの
合計タイムで決まる
リレーが速い=足が速いではないという事実
まず一つはっきりさせておかなければならないことは、
「リレーが速い≠足が速い」ということです。
単純な100m競争であれば足が速い人が勝つ人です。
しかしリレーの速さは異なります。
リレーで唯一スタートからゴールまで駆けるのはバトンのみです。
つまりリレーの速さとは
「いかにバトンを速く進めるか」と言い換えることができます。
そしてバトンは何によって進むかと言うと、
以下の2つの要素に分けられます。
- 一人で持って進む
- 二人でバトンを渡しながら進む
以上より次の式が導けます。
「リレーの速さ=足の速さ+バトンパスの速さ」
1年かけて来年の大会に向けて練習する部活と異なり、
運動会のための練習なんてせいぜい
1ヶ月前から週1回程度だと思います。
その程度の練習で足を速くすることはほぼ不可能です。
こうした制限の中でリレーのタイムを上げたいなら、
消去法でバトンパスを早めるしか方法はないのです。
日本代表のリレーからみるバトンパスの重要性
この戦略を「なんか王道ではない」と思う方もいるでしょう。
しかしこれこそリレーの日本代表が取っている戦略です。
これまで日本人で男子100m決勝に残った選手はいません。
しかし4✕100mの日本チームは現在世界で2番目に速いチームです。
これはリレー選手4人のうち2人も100m決勝に残っている
アメリカよりも速いということです。
ここの総力では劣る日本代表が世界で2位になれた理由、
それはバトンパスを極めたからに他なりません。
他の国はここまでバトンパスの練習に時間をかけません。
理由は大学など自分が所属するチームの練習と異なり、
代表のバトン合わせは全員が日程調整をしないといけないので
なかなか練習ができないからです。
この状況って何かと似ていませんか?
そう、運動会です。
リレーの選手全員が別々の部活に所属していたり、
予定があったりでなかなか時間を合わせることは出来ません。
そんな状態だからこそきちんとバトンパスの練習をしたチームが
飛び抜けるわけですね。
バトンゾーンで減速してしまう理由は
次走者がスピードに乗っていないから
では、バトンワークの上手さは何によって決まるのでしょうか?
一言で表すと「バトンの速度が落ちないこと」です。
この図は100m走の10mごとの疾走速度を表しています。
これが100m走の場合はここで終了です。
一方これがリレーとなった場合は、
このスピード曲線を4回分繰り返すわけですね。
そのときにいちいち失速していたら
3回も余計に加速しなくてはなりません。
この余分な加速局面でバトンのスピードが落ちてしまうのが問題なわけです。
具体例をあげましょう。
先ほどのスピード曲線をこのようなモデル図で表します。
ここで次走者がスピードに乗らないままでバトンをつなぐと、
バトン視点で見たときの速度はこうなってしまいます。
バトン視点で見ると第1走者がスタートしてからどんどん加速していきます。
そして100mが終わった時点でかなりのスピード感があります。
しかし、バトンパスの瞬間には
「ほぼトップスピードだった前走者→まだスピードに乗っていない次走者」へ
乗り移るため、バトンが体感するスピードは落ちます。
リレーが速いとはゴールまで素早くバトンを運ぶことだったので、
バトンが体感するスピードが落ちているということは
リレーのタイムが落ちているということに他なりません。
なのでこれではいけないのです。
では一体どうすれば良いのか。
次走者がスピードに乗ってからバトンをパスする
先ほどのAチームは次走者がスピードに乗る前にバトンをパスしていました。
一方きちんと加速をしてからバトンパスをするBチームは、
バトン視点で見たときの減速がほとんどありません。
結果的にバトンを素早くゴールまで運ぶことができるわけです。
ここまでで次走者がスピードに乗ってからバトンパスすることが
重要ということは分かったかと思います。
ではどうすればそれができるのでしょうか?
答えは先ほどのスピード曲線の中にあります。
100mのスピードは急速に上がって緩やかに落ちます。
ということは走り切った人の速度と
これから走る人の速度が重なり合う地点でバトンを渡せば、
バトンの速度はほとんど落ちませんね?
スピード曲線を見ると、
0mから20mまでは急加速をするので、
なるべくここの区間は次走者に走らせておきたいですね?
これが陸上競技のリレーであれば、
バトンゾーンが20m、それからブルーラインが10mあるので
大体20m走った残りの10mでバトンパスをすることが可能です。
しかし運動会のリレーでここまで厳密にやることはありませんね?
ですが今回の質問者様は
前の3人が早いのでアンカーまでは1位で来るという話をしています。
ということは、比較的落ち着いて邪魔者なしの精密なバトンパスができます。
仮にバトンゾーンが20mとすると
バトンゾーン入ってすぐの位置に立ち、
そこから前走者が5m程度手前に来たら全力で走り出すのが良いかと思います。
そして前走者が追いついたら「はい!」と言ってもらい、
「はい!」の声に合わせて手を後ろに出します。
後はここにバトン渡してもらえば、
スピードになった状態でバトンパスができます。
また全員リレーなどでバトンパスがごちゃごちゃし、
このテクニックを使うのが難しい場合は、
走り出しからバトンパスが終わるまで
後ろを向いたまま行うタイプをオススメします。
マイルリレーなどのオープンレーンでのバトンパスの際に用いられるテクニックです。
こちらも後ろを見つつ、なるべくスピードを高めておくことが大切です。
自分の環境と照らし合わせて、このどちらかを用いて
バトンの速度を落とすことなく
ゴールまでバトンを運びましょう。
すると自ずと良い結果もついてくるはずです。
→ 運動会でカーブを上手く走るコツは
頭を地面に対して真っ直ぐにすること
まとめ
【今日のまとめ】
リレーのタイムを上げる最も簡単な方法は、
バトンパスのテクニックを磨くこと。
他のクラスがやらないからこそしっかり取り組め!
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