運動会で全員リレーがある場合、
その走順が極めて結果に大きな影響を及ぼす。
今回はあなたのクラスが最も速く走れる
走順の決め方をご提案します。
本日の質問

内川
こんにちは、
陸上アカデミアの内川です。
今日は運動会の全員リレーに関する質問に回答していきます。

あなた
運動会で〈クラス全員リレー〉があるのですが、
そこで質問です。
リレーの走順はどのように組むのがベストなのでしょうか?
速い、遅い、普通な人がいて
それらの人をどう組み合わせればよいのでしょうか?
まとめると
クラス対抗全員リレーの走順は
どのようにして決めればよいか?
ですね。
ではここから回答していきます。
結論
【今日の結論】
前半は離されすぎないようにし、
後半一気に抜きされる走順がオススメ!
ではまず基本指針から説明します。
今回は30人学級の男女混合リレーと仮定しますね。
→ 綱引き必勝法はこれだ!
絶対勝てる作戦で運動会を有利に進めろ!
基本戦略1:前半での1位に意味はない
まず全員リレーなどの10分近く競技が続くリレーだと、
前半での1位に意味はありません。
前半で独走していたとしても、
最終的に最下位になってしまっては結果がビリです。
最終的にトップでゴールテープを切ることを目標にしましょう。
スターターで1番足が速い人を持ってくるのは愚策
とするとスターターで1番速い人を持ってくるのは愚策だということがわかります。
理由は残り29人残っている状況で1番になってもしょうがないですし、
どうせ他のクラスも速い人を持ってきます。
そうなると皆が同じくらいのスピードで飛び込んでくるので、
バトンゾーンがごちゃごちゃ混みます。
せっかくクラス1速い人が素晴らしいスピードで持ってきたにも関わらず、
このごちゃごちゃで全てが無に返してしまいます。
スターターはクラスのムードメーカーにしろ!
とすると、スターターは誰に任せるべきなのでしょうか?
答えは「そこそこ足が速いクラスのムードメーカー」に務めてもらうことです。
ムードメーカーはクラスのほとんどと仲が良いですし、
運動も比較的得意なことが多いです。
なのでクラスメイト全員から応援されやすいですし、
彼ら彼女ら自身もこういう局面は好きなので
全力で走ってくれると思います。
ちなみに男女はあまり関係ありません。
むしろほとんどのクラスは男子だと思うので、
バトンゾーンでの混み具合を考えると女子のほうがいいかもしれません。
基本戦略2:走力差がありすぎるとバトンが止まってしまう
続いて全体を通して言えることですが、
「走者間で走力に差がありすぎるとバトンが止まってしまいます」。
走力さがないほどバトンパスは上手くキマる!
この理由は前走者が速すぎる場合は
次走者が加速する前に追いついてしまいますし、
逆に次走者が速すぎる場合は
いつまで経っても前走者が追いつかずに
バトンを渡すことができないからです。
なのでなるべく前走者と次走者の走力差はつけない方が良いです。
丁度100m走ってきてスピードが落ちた前走者と、
スタートしたばかりでまだスピードに乗っていない次走者の
スピードが重なり合ったときにバトンパスは行われます。
なのでお互いの走力差がないほど
ロスの少ないバトンパスが可能です。
このスムーズなバトンパスに関してはこちらの記事で解説しています。
→ 運動会の全員リレーでバトンパスを練習することは
優勝に間違いなく繋がる!
ただし例外もあります。
それは
- 最も足が遅い人→最も足が速い人
- 2番目に足が遅い人→2番目に足が速い人
のバトンパスです。
ここだけはリードほぼなしでも素早くバトンをもらってしまい、
自分のペースで加速した方がトータルで見ると速く走れます。
ではここからは各局面毎の戦略をご紹介します。
→ 運動会でカーブを上手く走るコツは
頭を地面に対して真っ直ぐにすること
各局面毎の戦略
1.前半でクラスのワースト1~3を走らせてしまおう!
今回ご紹介する戦略を採用する場合は、
前半の差をトップと15~20m以内に
抑えて折り返しことが必須条件です。
理由はいくら後半に足の速いメンバーを残すと言っても、
全員がトップクラスを残すことは出来ないので、
残り戦力で逆転できる差までで抑えておく必要があるからです。
前半で走らせるメンバーはこの青い部分です。
ポイントは最も遅い人3人までを前半で走らせることです。
だいたいどのクラスも遅い人は後ろに持っていきがちですが、
前半でリードすることに意味はないので先に走らせてしまいましょう。
そして前半で走らせた
足の遅い人たちで開いてしまった差を詰めるのが
前半で走る足の速い人たちの役割です。
1~2番目に足が速い人を使って、
15m~20m以上離れないようにしましょう
(30m差が付いたら逆転はかなり難しいでしょう)。
ここで大切なことは
最も遅い人の後に最も速い人、
2番目に遅い人の後に2番目に速い人を配置することです。
理由は次の2つです。
- クラス全体に安心感を与えること
- 遅い人に劣等感を抱かせないため
です。
1.クラス全体に安心感を与えること
1,2番目に足が遅い人が走るときはクラス全体に

自分たちのクラス
大丈夫かな?
という雰囲気が漂いますし、一方他のクラスには

他のクラス
よっしゃ!ここで逆転だ!
という期待感を抱かせてしまいます。
それを防止するための手段が、次走者をクラス1,2番目にすることです。
彼らが次に控えていると知っているクラスメイトは

自分たちのクラス
でもアイツが取り戻してくれる!
と安心することができますし、他のクラスは次の走者が彼らと知った瞬間に

他のクラス
うわ、やっぱりダメかも…
と勝手に落胆するからです。
2.遅い人に劣等感を抱かせないため
もう1つは当事者、つまり遅い人本人への配慮です。
彼ら彼女らは少なからずクラスに迷惑をかけてしまうという気持ちを抱いています。
こうした気持ちをケアするのも、走順を決めるリーダーの役割です。
全員リレーはクラス全員の気持ちを団結させないと勝つことはできないので、
足が遅い人のケアも必要です。
そのための方法をご紹介します。
遅い子からバトンを受け取る
No.1、No.2には事前に、
「君たちが遅れた分は俺が取り返すから大丈夫!」ということを伝えてもらうようにします。
この一言で遅い子達は安心できます。
そのうえで「ここまでしてくれるなら、クラスのために頑張ろう!」
という前向きな気持ちに持っていくことも可能なのです。
足が速い人は足が遅い人のケアができてこそ、
クラスに貢献していると言えます。
自分の得意分野が発揮できるなら精神的にも余裕があると思うので、
クラスで勝つために力を発揮してみませんか?
2.アンカーで逆転は無理なので、
ラスト5人までには差をほぼゼロにする
これまでの条件通りに走れていれば、
半分の人数が走り終わった段階で
トップとの差は15~20mです。
残りの15人でこの15~20mを挽回しなくてはいけません。
そして最低でもラスト5人までには差を0にして
「あとは抜くだけ状態」にしておきたいので、
厳密には10人で差を埋めることになります。
とすると1人2m差を詰めればよいということがわかります。
この段階で走らせる人たちはこの緑ゾーンの人達です。
構成要因は残りの若干遅い人数名と、
普通~速めの人です。
なぜここで残りの「少し遅い人たち」を走らせるか。
それはラストでスムーズに追い抜くための仕込みです。
そのために数人残っている
「若干足が遅い人達」をラスト5人に入るまでに消化しないといけないわけです。
ここでの比率は「若干足が遅い:若干足が速い=3人:7人」くらいにします。
つまりこの7人で、3人分の遅れを取り戻しつつ差を詰めるわけです。
察しの良い方はもうおわかりかと思いますが、
一見すると活躍がわからないこの10人の出来次第で、
ラスト逆転できるかが決まります。
なのでリーダーは、一見地味なこの10人にきちんと
「役割」と、
「優勝できるかは君たちの出来次第だ!」ということを伝えて、
やりがいを与えましょう。
3.上位10~20%の走力でラスト3人までに確実に抜き去る
さて、ここまで25人かけて仕込みに仕込んだネタを開放しましょう。
この全員リレー最大の見せ場であるトップに立つ瞬間です!
「トップとの差ほぼ0かつ残りは全員足が速い人」という最高の舞台ですね。
ここまで残してきたクラスのNo,4,5,6を思う存分使いましょう。
3連続速い人で固めて完璧なバトンワークで抜き去り
初めてリードを取ります。
この3人で抜ける根拠はコレだ!
ここで抜ける根拠として
- 速い人はスポーツなどをやっており、
プライドもあるので全力で抜きにかかるから - 速度が同じくらいなのでバトンパスもスムーズ
自分が足が速いので分かりますが、
足が速い人は基本的に全員リレーで活躍したがります。
活躍したくてうずうずしてるところに、リーダーから

リーダー
君達3人でなんとかトップに立ってくれ!
一番おいしいところ持っていっていいから、
思う存分暴れてくれ!
なんて言われたら確実に120%の力を発揮してくれます。
全てはこの瞬間にクラスの力を集中させるための仕込み
ここで

自分たちのクラス
抜け〜!!!!
という一体感を出すためにも、
クラス全員、速い人も遅い人も「絶対に1位になる!」という
目標を共有している必要があります。
先程の遅い人への配慮はここに効いてきます。
クラスから邪魔者扱いされていたら、
心の底からトップに立ちそうなクラスメイトを応援することは出来ません。
なのでリーダーは必ず全員にやりがいを与え、
目標へのコミットメントを高めましょう。
さらにここに到達するまで走った人たちも、
足の速い3人があとに控えているということを知っているので、

自分たちのクラス
あの3人がなんとかしてくれるから大丈夫!
という安心感があります。
したがって自分が離されてしまっても諦めずに走りきることができるのです。
ラスト2人は他のクラスが平均より少し速い程度の足があれば
追いつかれることはないので、
練習等で他クラスとの差を見つつ、
予想以上に離された部分の人員を入れ替えるようにしましょう。
→ 小学生が運動会でリレーの選手に選ばれるには
脚力とテクニックが必要だ!
優勝するためにリーダーが必ず行うべきこと
こうした走順を決める人というのは、リーダーの役割かと思います。
最後にリーダーが絶対にやるべきことをご紹介します。
リーダーは皆の気もちの拠り所
それはクラスメイト全員に声をかけることです。
走る前には個別に

リーダー
行けるぞ!

リーダー
ファイト!

リーダー
勝てる勝てる!
走り終わった後は

リーダー
お疲れ!

リーダー
ナイスラン!
抜かれてしまった子に対しては

リーダー
気にすんな!
このような何気ない一言を必ずかけましょう。
この一言で調子が良くても調子が悪くても、
気持ちをクラスの方に向けることが可能です。
リーダーとクラスNo.1が違う人の場合
多くの場合一番足が速い人がリーダーを務めることが多いと思いますが、
リーダーと最も足の速いNo.1が別の場合。
No.1は一番足が遅い人の後に走るので、直接声をかけてあげましょう。
事前に

No.1
絶対俺が取り戻すから大丈夫!
というような一言をかけつつ、実際にバトンを受け取るときには

No.1
任せろ!
などの一言を掛けるようにしましょう。
先に説明したように、その一言で罪悪感が和らぎます。
「一番遅い人を盛り上げる」ということが、
全員リレーにおいては極めて大切です。
理由はみんな一番足が遅い人は分かっているので、
「あの子が頑張っているなら私も頑張らなきゃ!」という思いになるからです。
なので一番足が速い人は、
絶対に「早く渡せよ!!」とか言っては駄目です。
確かに足は速いですがそんな人はいない方がマシですね。
→ 小学生が速く走るための練習なら
バウンディングだけやっておけばいい!
まとめ
どうしてもクラスによって一人一人の足の速さは異なりますし、
その分布も異なります。
なのでこの通りにやれば必ず勝てるというわけではありませんが、
この決め方をベースとして、
残りはクラス全員で試行錯誤をしながら順番を決めれば、
優勝が近づくのでないかと思います。
適当に決めて勝てるほど全員リレーは甘くありません。
【今日のまとめ】
全員リレーのポイントはクラス全員が
「絶対勝つ!」という目標と
「自分の役割」を認識していること!
コメント
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とても勉強になりました。