アイソレーション種目は超効率が良いトレーニングだ!
まずウエイトトレーニングにはコンパウンド種目とアイソレーション種目の2種類存在します。
簡単に分けると「2つ以上の関節を動かす種目」「1つの関節を動かす種目」という区別です。
アイソレーション種目とはアームカールだ!
実際にコンパウンドとアイソレーションの実例を挙げましょう。
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コンパウンド |
アイソレーション |
動員する関節の数 |
2つ以上 |
1つ |
筋肥大効率 |
悪い |
良い |
パフォーマンス直結率 |
高い |
低い |
種目例 |
ベンチプレス
クリーン
スクワット |
アームカール
レッグカール
サイドレイズ |
この例からもわかるように20kg超の重りを扱う種目はほとんどがコンパウンド種目です。
理由は単純でアイソレーション種目は短関節動作。
つまり1つの筋肉のみで重りを挙げる種目なので、出せる力が限られているからです。
これがアイソレーション種目のメリットであり、デメリットでもあります。
それぞれ説明します。
メリットは目的筋肉だけに刺激を入れられること
「アイソレーション種目とはなんでした?」
「1つの筋肉のみに刺激を入れられることです」
「おっしゃる通り!」
「つまり負荷が分散せずに大きくしたい筋肉を最高率で大きくすることができるわけです」
例えばアームカール、上腕二頭筋を鍛える種目です。
アームカールはアイソレーション種目なので対象筋群である上腕二頭筋に負荷が集中しますが、逆にアームカールのフォームで上腕二頭筋以外を鍛えることはできません。
理由はアームカールでは肘関節しか動かないからです。
筋肉を動かすには隣接する関節を曲げ伸ばしするしかないです。
今アームカールのフォームは肩を固定して肘関節のみを伸ばしするものです。
結果的に肘関節しか動かないので、伸びる筋肉は肘関節と隣接している上腕二頭筋のみです。
一方コンパウンド種目は負荷が分散します。
例えばスクワット。
スクワットで臀部の筋肉のみを鍛えることはできません。
スクワットを行う限り、背筋、臀部、太腿、ふくらはぎの筋肉を鍛えてしまいます。
理由はスクワットの動作では
股関節、膝関節、足首の3つ関節が動くからです。
この3つの関節を動員するトレーニングは
トリプルエクステンションと呼ばれており、
特にクリーンは爆発的パワーを伸ばせる種目としてアスリートに重宝されています。
デメリットはパフォーマンス向上のために協調性を高める必要がある
続いてアイソレーション種目のデメリットを考えてみましょう。
メリットから読み解くデメリット
アイソレーションとコンパウンドのメリットとデメリットは表裏一体です。
アイソレーションのメリットは1つの関節のみを動かすので、対象筋肉のみ刺激を入れることでした。
具体例を挙げるとアームカールはダンベルの負荷100%が全て上腕二頭筋に加わります。
しかしスクワットは3関節を動員するので、背筋、臀部、大腿、ふくらはぎなどに負荷が分散します。
つまり「臀部だけ鍛えたい!」となった時の効率は圧倒的にアイソレーションに分配が上がるというわけです。
しかしこのメリットは見方を変えるとデメリットになります。
それは「アスリートの最終目的はパフォーマンスを向上させること」だということです。
よく考えてみてください。
陸上競技で上腕二頭筋のみ力を発揮する局面はありますか?
ないですね?
どのスポーツでも複数の筋肉の協調性を発揮したまま出力します。
つまり「実践から遠い」のです。
デメリットは実際のスポーツ動作と遠いこと
最も実践に近い動きであるクイックリフト(クリーン、スナッチ)の能力を高めれば、競技力向上に直結します。
しかしアームカールで鍛える上腕二頭筋のみやレッグエクステンションで鍛える大腿四頭筋のみで運動をすることはありません。
つまり筋肉は大きくなるけど、競技力には直結しないということです。
逆にいうと筋肉を動かさずにその見た目のみで勝敗がつくボディビルダーは、パフォーマンスまで高める必要がないのでガンガンアイソレーションを行います。
これがいわゆる「使えない筋肉」といわれるものです。
実際には「使えない筋肉」なのではなく、「筋肉を使いこなす練習」をしていないだけですね。
アスリートでもボディビルダーでも、自重でつけた筋肉でもウエイトでつけた筋肉でも、筋肉が増えるという現象自体は変わりません。
あとはその増えた筋力を使いこなす練習をしないと、誰もが「筋肉を使いこなせていない状態」なわけなので、パフォーマンスが上がるわけないということです。
「使えない筋肉」とは「パワーを使いこなせていない主人公状態」だ
よく漫画やアニメでも強力すぎるパワーを得た主人公がそのパワーを使いこなせずに暴走するシーンがあると思います。
NARUTOの九尾化

ルフィのギア4の直後

デクのワンフォーオールぶっぱ

この状態です。
「使いこなせれば超強いですが、コントロールできないと暴走する」というやつです。
主人公は皆
主人公達
という自責マインドがあります。
絶対
主人公達
とはならないです。
そんな漫画読みたくないですね。笑
もし
ウエイトでつけた筋肉だからダメなんだ!使えない力だ!
あなた
となっていたらカッコ悪い主人公状態です。
きちんと主人公達を見習って、自分のコントロールできる筋量を増やしましょう。
修行です。
パフォーマンスに直結しないならコンパウンドだけやってればいいんじゃね?と思うあなたへ
ここまで見るとこのような疑問を抱いた方もいるのではないでしょうか?
パフォーマンスに直結しないならコンパウンドだけやってればいいんじゃね?
あなた
コンパウンドだけやってればいんじゃね?は正論
そう思う気持ちもすごくわかります。
実は内川自身も現役の頃全く同じことを思っていました。
内川
今では全くそんなこと思わないですが、
数年前の現役時点では本気で信じていました。
陸上競技10年間取り組み、全国入賞を果たし、生命科学を先行していた私でさえこう考えていました。
つまりアスリートのフィットネスリテラシーなんてそんなもんなんで、あまり自分の無知さを恥じる必要はありません。
ですが一通りフィットネスやストレングストレーニングを学んだ現在では、その考えは甘かったと痛感しております。
その考えは無知ゆえの過ちだった
判断材料は2点です。
- 全て使いこなせる筋肉なら筋肉はある方がパフォーマンスは高い
- 効率よく筋肉をつけるならアイソレーショントレーニングだ
筋肉自体はただの出力装置です。
つまりあればあるだけ出力は高くなります。
そして筋肉を効率よくつけるのであれば、負荷を分散させないアイソレーション種目のほうが向いています。
こうした内容から「目的が明確なアスリートはアイソレーション種目を行うべきだ」と思うわけです。
しかしせっかくつけた筋肉も出力をする練習をしないと、ただの贅肉と変わらないです。
よってキチンと力を発揮し、より速く走れるように、より遠くへ跳べるように出力練習を行いましょう。
アイソレーション種目は冬季練習などの鍛錬期に行うべきだ!
ではアイソレーション種目はいつ行うべきなのでしょうか?
結論からお話しすると「冬季練習」や「夏季練習」の鍛錬期です。
理由は「試合期は今の身体を使いこなしてパフォーマンスを上げる時期だから」です。
アイソレーション種目は冬季の増量期に取り組め
陸上競技者の年間のパフォーマンスはこのようなラインを描きます。

パフォーマンスレベルが上がっている試合期は現状の身体を乗りこなしてテクニックを磨く期間です。
となると、そこで更に増量をするのは悪手ですよね?
そもそも競技者なら現状で100%身体を使いこなしているという状態には永久にならないと思います。
つまり完全にコントロールできていない状態にもかかわらず器を大きくしたら、より一層コントロールできなくなり最も大切な試合のパフォーマンスが下がります。
それでは本末転倒ですね。
こうしたことを避けるためにも、試合期は現状の身体をコントロールしパフォーマンスを向上させる期間。
鍛錬期は翌シーズン戦いきるための身体を作り上げる期間ということですね。
この鍛錬期、試合期を分けた年間スケジュールの考え方はこちらの記事で詳しく解説しています。
アイソレーション種目の具体的取り組み方
では最後に実際のアイソレーション種目の取り組み方についてご紹介します。
具体例を挙げた方がわかりやすいと思うので今回はアームカールを例に挙げて説明します。
まずトレ日にアイソレーション種目だけ行うことはないと思うので、その前提でお話しします。
順番はコンパウンドが全部終わってからアイソレーションに手を出しましょう。
理由はコンパウンド種目のほうが総じて重いものを扱え、さらに筋肉間の協調性が必要となるので、よりフレッシュな状態で取り組むべきだからです。
つまりベンチプレスやベントローが終わってからアームカールなりサイドレイズなりを行いましょう。
回数は1セット12~15reps、3~5セットをピリオダイゼーションに則った練習計画に基づいて行い
ましょう。
取り組むべきアイソレーション種目はこちらで詳しく解説しているので、それぞれ参考にしてみてください。
また今回の記事の内容を完璧に理解して競技に活かすために、必ず対応しているコンパウンド種目の記事も読んでください。