「小学生が運動会でカーブを上手く走るコツを教えてほしい」という相談に回答していきます。
結論は「遠心力で振り回されないように頭を地面に対して真っ直ぐにすること」ですが、その理由、解決方法をご紹介していきます。
これを実践すれば必ずカーブが速く走れて、運動会で活躍できます!
本日の質問
こんにちは、陸上アカデミアの内川です。
今日は小学生がカーブを速く走るにはどうしたらいいですか?という質問に回答していきます。
【運動会カーブを上手に走るには?】
子供の運動会がやってきました。
毎日保育園や学校で練習しているみたいなのですが、上手に走れないようで教えてくれと頼まれましたが私も知りません。
どうぞよろしくお願いします。
低学年の子は直線100Mを走るのですが去年より番数が落ちたと嘆いています。
この頃は先天的なものの方が強く出て、なかなか上位に食い込むのは難しいとは分かっているのですが、走り方をみるとちょっと不恰好です。。。
女の子なんです。
まだ自分の能力とかは考えてない時期で、本人も練習次第でどうにかなると思っているようです。
保育園児の下の子は早いほうなのですが、園庭の狭いグランドでリレーをするといつもカーブで転んでしまうらしいのです。
原因はよく分かりません。去年も転んでいました。
晴れ舞台なのでなんとか頑張らせたいのですが、どうおしえたらいいのか迷っています。
子供たちのキラキラした目で「おしえて。おしえて。」と言われると責任重大で困ってしまいました。
どうかアドバイスよろしくお願いします。
親リレーもあるため大人が小さいカーブを上手に走るコツなども知ってましたらよろしくお願いします。
まとめると
- 保育園児と小学生の低学年
- 小学生は100mで去年より順番が落ちた
- 本人は練習次第でどうにでもなると思っている
- 保育園児は去年もカーブで転ぶ
- 大人が小さいカーブで走るコツ
ですね。
ではここから回答していきます。
結論
カーブは遠心力に振り回されないように、左肩を前に出して頭を地面に対して真っ直ぐ立てるように走る
ではまず「なぜカーブが上手く走れないのか」から解説していきます。
カーブが上手く走れない理由は遠心力にあり
なぜカーブはうまく走れないのでしょうか?
その理由は遠心力にあります。
車やバイクを運転する方には馴染み深いと思いますが、道が曲がっていると遠心力で少し外側に持っていかれてしまいます。
これが走りでも生じるためにカーブを走ると外側に膨れてしまうわけです。
結果的に2つの点でロスが生じます。
- 走りの効率の低下
- 走る距離の増加
です。
それぞれ見ていきましょう。
1.カーブで膨れてしまうと走る距離が伸びる
これは言わずもがなですよね?
陸上競技でも外側のレーンの方が走る距離は長いです。
それだと不公平なので差を埋めるために、スタート位置が外側のレーンの方が前に出ているわけですね。
ということで外側に膨れてしまうと、少し走る距離が長くなってしまうということです。
例えば小学生で100mを20秒かけて走るとします。
1mあたり0.2秒かかっていることになります。
走る距離で1mというのはほんの少し外側を走るだけで簡単に達成してしまいます。
なのでこのカーブの走り方が下手くそなだけで0.2秒や0.4秒といった無視できないほどの差がついてしまうわけです。
続いて走りの効率の低下という話をしていきたいと思います。
2.カーブで体が傾くときちんと走れなくなる
これまでこのブログでは散々足を速くするには「フォーム」と「脚力」が大切という話をしてきました。
こうして苦労の末走り方を綺麗にしたとしても、カーブで膨れてしまうと体の軸がブレてしまいます。
すると整えたフォームも崩れてしまうことにつながりなります。
正しいフォームにした理由は足を速くするためなので、軸がブレてしまうと結局足が遅くなってしまうということになります。
では具体的にどのようにフォームが崩れてしまうのかという話をしていきましょう。
1.体が傾くので接地時間が長くなる
まず体が傾いてしまうと単純に倒れてしまいます。
転んでしまうということですね。
転ばないようにするために人間の体というのは工夫をします。
具体的に何をするかというと、地面に長く足をつけるのです。
力というのは「発揮時間」✕「大きさ」で表せるので、長く付いている分大きな力を発揮できます。
しかしそれは転ばないように大きな力をかけているだけなので、前に進む力とは別です。
むしろ接地時間が長くなるとタイムは落ちます。
理由は地面に足をついている瞬間は体が前に進んでいないからです。
地面から足が離れている時に体は前に進んでいます。
ということはカーブで転ばないために足を突っ張っぱる時間が延びるということは、前に進まない時間が延びるということです。
なのでなるべく体を傾けずに走っていきたいわけですね。
2.体が傾きすぎるとまっすぐに力を伝えることができなくなる
2つ目は体が傾きすぎるとまっすぐに力を伝えることができなくなるということです。
まっすぐ走る場合は前方向にだけ体を進めるが良かったです。
しかしカーブを走る時には前方向に進むのはもちろんですが、倒れないために横方向にも力を加えなければなりません。
つまり直線を走っている時は100%前に力をかけられたいものが、カーブを走っていると前ー70%、横ー30%のような力の使い方をしなければならなくなります。
横に力を入れる分に進むスピードは落ちてしまうので、結果的に100mのタイムが落ちてしまうということがわかるかと思います。
転んでしまうのは体が傾きすぎているせいだ
そして質問者の方の保育園のお子様は毎回カーブで転んでしまうという話をしていました。
これは保育園のトラックは半径が小さいのでカーブが急な事に原因があります。
カーブが急ということは、より大きな遠心力がかかることになります。
そうすると先ほど見てきたように、体はより大きな力でこの遠心力に対抗しないといけなくなってしまいます。
理由は倒れないようにですね。
そして通常のカーブなら70%ー30%の配分で走ればよかったところを、60%ー40%や50%ー50%のように、横向きに力を増やさなければならなくなってきます。
陸上競技のトラックをスパイクを履いて走る場合にはそのようなことは起きませんが、砂や砂利のトラックを走るとなると転んでしまう理由は摩擦力の違いです。
靴と土の間での摩擦力はそこまで強くありません。
この摩擦力が横向きの力に耐えられなくなった時に滑って転んでしまうわけです。
70%ー30%ではまだ耐えられていましたが、50%ー50%では摩擦力を超えてしまうので転んでしまうということです。
なのでカーブで転んでしまう場合のほとんどの原因は体を傾けすぎていることです。
体を傾けすぎているので転ぶ危険性も高まりますし、走りの効率も悪くなってタイムも遅くなってしまうのですね。
ということで速く走るためには体を傾けすぎないことがコツだというのはご理解いただけたかと思います。
では実際にどのようにして遠心力に対抗していこうという話をしたいと思います。
→【「走るの速くても人生の役にたたない」は大ウソ!めっちゃ役に立つ!】
遠心力に負けずに走るコツは頭を地面に対して真っ直ぐ立てること
遠心力に負けずに体をなるべく傾けないコツは2つあります。
- 頭を立てること
- 外側の腕を振りすぎないこと
です。
それぞれ解説していきます。
1.頭を立てると走りの効率が高まる
これは少し専門的な話になってしまうのですが、頭を地面に対して垂直に立てると体の軸がブレにくくなります。
ボルトの走りからブレないコツを盗む
これは世界一有名なスプリンター、U.ボルト選手が200mを走ってる時の画像です。
注目していただきたいのは頭の角度です。
赤のユニフォームと紺のユニフォームの選手は頭から足先まで一直線に傾いています。
一方黄色いユニフォームのジャマイカ選手は他の選手同様に体は遠心力に
対抗するために傾いていますが、頭は曲がっていて地面に対して真っ直ぐ立っています。
この違いによって何が生まれるかと言うと、平衡感覚の違いです。
頭が傾くと平衡感覚がズレるから走りが遅くなる
これは耳にある三半規管の図です。
三半規管は平衡感覚を司っている機関で、左右の耳にあります。
これが一直線上にあれば平常状態ということになります。
逆に一直線上になければ体は平常時ではないと判断し、平常時ほどのパフォーマンスを発揮できません。
つまり、正しいフォームで走れないということになりますし、力も通常より入らないということになります。
この状態で強い遠心力に対抗しなくてはならないので、結果的に体がブレたり、横に傾いたりして走りにおける大きなロスが生まれてしまうのです。
ではどうすればよいのかはすでにボルト選手が教えてくれていますが、いつでも頭だけは真っ直ぐ立てておくことが大切なのです。
ここで単純に頭を傾けないと思っても少し難しい部分があります。
コツは左の肩を前に出してあげることです。
左の肩それから左の腕をリードとして、走っていく方向に振っていく。
そうすることによって左側の肩から脇の下にかけての筋肉が固まってるので、体がブレにくくなります。
結果的に頭をまっすぐで保持することが簡単になってくるのです。
→【「フォーム」と「脚力」を鍛えればかけっこは桁違いに速くなる!】
2.外側の右腕を振りすぎない
2つ目は腕振りです。
小学生に限らず多くの方が勘違いしていることなんですけれども、カーブで外側の右腕を大きく振っても速く走ることはできません。
(ちなみに文科省の動画もこの解説は間違っています。)
理由は外側の右腕を大きく振ると余計遠心力がかかってしまうからです。
「遠心力がかかる=走りが遅くなる」はこの記事で何度もお話しているので、もう問題ないですね?
なので外側の腕を大きく振ってしまうとタイムが遅くなります。
ではどうするかと言うと、先ほどもお話はしましたが「内側の左腕をリード腕として、進行方向目掛けて振っていく」。
これが正しいカーブの走り方です。
ボルト選手も右腕を大きく振っているわけではないですよね?
カーブを上手く走る練習方法
正直にお話すると、これは筋力などと違って「これだけやればいい」というわけではありません。
何度も何度もカーブを走って練習していくしか習得方法はないです。
ですが闇雲に走ってもしょうがないので、ぜひともご両親が良いお手本となって走ってみてください。
そしてお子様の走りを動画で撮って、実際に見比べてみましょう。
ほとんどの走り方が変なお子様は、自分の走りが変だとは思っていません。
むしり速く走れると思って今の走り方をしています。
→【小学生ががむしゃらに走るのは、それが最も速く走れると思っているから】
なので主観と客観のすり合わせを早い段階で行い、矯正するのが良いでしょう。
是非ともたくさん走ってみてほしいなと思います。
まとめ
遠心力に対抗するためにカーブは頭を立てて、左腕を進行方向に振ると速く走れる!
PS.
この頃は先天的なものの方が強く出て、なかなか上位に食い込むのは難しいとは分かっているのですが
ちなみにこれはウソです。
→【幼稚園、小学生のかけっこ程度で遺伝は関係ありません。】
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