【ハイクリーンの教科書】陸上選手が必ず行うべきハイクリーンのやり方を完全解説。
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【ハイクリーンの教科書】陸上選手が必ず行うべきハイクリーンのやり方を完全...
「陸上競技のパフォーマンス向上のためにクリーンを行っているけどなかなか成果が出ない」
それはもしかするとやり方が間違っているのかも。
クリーンを100%マスターするための教科書をご覧ください。
本日の質問
内川
今日は走り幅跳びのみならず陸上競技に必須のトレーニング、クリーンに関する質問に回答していきます。
陸上短距離をやっている高校1年です。
今、朝練で毎日ハイクリーン 10回×3セットベンチプレス10回3セットをやっています。
これを朝毎日やるというのは逆効果でしょうか?
週何回とか決めてやる方がタイムが伸びるのでしょうか?
よろしくお願いします
悩める相談者
今日はこの質問に回答していきます。
まとめると
- 短距離高1男子
- 朝練でクリーン、ベンチ各10✕3セット
- 取り組み方が合っているか?
ですね。
ではここから回答していきます。
結論
【今日の結論】
ハイクリーンは0→100→0を素早く行うことによって競技力に直結する瞬発力を高めることができる!
では最強のウエイトトレーニング種目、クリーンのいろはを解説していきます。
クリーンが必須の理由はトリプルエクステンションを用いて爆発的パワーを発揮する種目だから!
まずクリーンをなぜ行うべきなのか?について説明します。
クリーンはトリプルエクステンションを用いて爆発的パワーを発揮する種目なので必須です。
ではトリプルエクステンションとはなんでしょうか?
これは股関節、膝関節、足首の3つの関節を曲げ伸ばしして行うトレーニングです。
他にはデッドリフトやスクワットがあります。
ではなぜトリプルエクステンションが重要なのでしょうか?
その理由はこのフローにあります。
下半身の筋肉主な筋肉は臀部、大腿四頭筋、ハムスト、ふくらはぎ
です。
トリプルExはこちらで詳しく解説しているので理解が足りない方は読んでください。
クリーンの肝は0→100→0の動きを素早く行うことだ
物事を習得するにはそれがなんであるかを理解することが大切です。
ということはクリーンをマスターするにはクリーンが何であるかを理解しないといけないのです。
クリーンを一言で表すと「素早く立って素早くしゃがむ」だ!
内川
あなた
それではマスターは程遠い位です。
全ての動作は一言で表せます。
内川
スクワットならウンコ座り
デッドリフトならダンボールを持ち上げる
内川
あなた
内川
「立ってしゃがむ」で最大出力をするためにバーベルを持つ、それがクリーンだ!
クリーンとは立ってしゃがむことだと言いましたが、厳密には言葉足らずです。
立つは立つんですが、なるべく自分を最大に広げます。
イメージはムササビです。

アイツらは木から飛び降りて滑空するために全身を最大限広げます。
その動きのように立ち上がるときに自分の高さを最大限大きくします。
それによってスタートポジション(0)から一瞬で出力(100)することが可能です。

その後のキャッチは一気に100にまで持っていった勢いによって上空に上がったバーベルが、空中に滞空している間に素早くしゃがみこんで(0)バーベルが落下してくるのを下で待ちキャッチします。
つまりクリーンとは0→100→0をできる限り速く短く行う動作なわけです。
ではあなたが実際にクリーンをマスターするまでの全工程をご紹介します。
スタンスとポジション
グリップ
グリップは肩幅より広く、サムアラウンドのオーバーグリップで握ります。

握力が足りなくて力が入りづらい場合はこちらのリストストラップを使いましょう。
スタートポジション
続いてスタートポジションですが、横から見たときに前から「頭>肩>バー>膝>足首>腰」となっていることが必須です。

理由は物理学的に考えると自明です。
内川
あなた
つまり臀部、ハムストの筋肉が縮むことによって発揮された力によってバーが挙がるわけです。
内川
正しいスタートポディションと誤ったスタートポディション
それぞれのフォームを見てみてください。
上は全体的に前傾しているので重心は頭寄りにあります。
一方下のフォームはスクワットのフルボトムに近いのでウンコ座りのスタンスです。
つまり重心は後方にあります。

重心位置と立ち上がり動作のスムーズさの関連性
身体の前に重りがあるとき、重心と重りの位置はなるべく近いほうがスムーズに伸展できます。
よって今一番大切なことは重りと重心の位置を近くすることなのです。
これはデッドリフトのスタートポディションとも一致します。
ファーストプル
続いてファーストプルです。
結論から言います。
クリーンのファーストプルはデッドリフトのファーストプルと全く同じです。
どちらも床から膝からまでバーベルを持ち上げる動作です。
つまりここまででおわかりのように、デッドリフトとクリーンは膝までは全く同じ動作ということです。

なのでファーストプルに関してはデッドリフトの解説をご覧ください。
セカンドプル
セカンドプルが一番のキモです。
ポイントは3点
- 素早く100%まで広げる
- バーの軌道は自分向き
- 上体を後ろに反りすぎない
それぞれ解説していきます。
1.素早く100%まで広げる
これがクリーンという動作を行う目的です。
瞬発力を鍛えたいのであればまず最も意識するべきことはトリプルExが完了するまでの時間を最短にし、発揮する力は最大にすることです。
これは内川と指導をしている吉田選手のクリーンの比較です。
吉田選手の紹介はこちら。
左の吉田選手のクリーンはファーストプルからトップまで一定リズムですが右の内川のクリーンはセカンドプルで加速していることがわかると思います。
クリーンで瞬発力を主に発揮する局面はセカンドプルです。
なのでセカンドプル、つまりバーが膝を越えた瞬間に一気に腰を前に突き出してトリプルExを発揮しましょう。
力を抜く局面と入れる局面をきちんと分けることが大切です。
ちなみにこれは吉田選手の課題です。笑
2.バーの軌道は自分向き
続いてバーの軌道です。
これも内川と吉田選手のエアーでクリーンを比較してみましょう。
2人のバーの軌道を図解するとこうなります。

吉田選手の軌道はバーを持ち上げたあと前でキャッチします。
正しい軌道はバーを持ち上げた軌道の下に自分が潜り込みます。
つまりトップまでバーを挙げますが、挙げきる前に自分自身はしゃがみ始めていないといけないわけです。
バーも落ちているのに、さらにその下に潜り込んでキャッチするのは不可能ですよね?
結果としてバーを横からキャッチしにいく形になり、吉田選手のようなキャッチ姿勢になります。
このときの指標はバーが自分の膝より上ないし内側に収まっていること。
膝より遠くに重りがあったら、それを保持するのは極めて難しいです。
(内川のフォームは撮影した髙橋くんの力量もあり斜めになっていますがご了承ください。彼は一生懸命撮っていました。)
つまりすばやく潜りこんでいればバーは膝の内側、潜り込めていなければ膝の外側にあるわけです。
3.上体を後ろに反りすぎない
3点目は比較的簡単です。
2.の軌道を描くと思いっきり上体を後ろに煽ってバーを挙げる方がいます。
が、それはトリプルEx.ではなく腰の反りで挙げているので瞬発力がつかないばかりか、腰を痛める恐れもあるのでやめましょう。
後ろに反るのはあくまでセカンドプル序盤の腰を前に突き出すときの上半身のみです。
腰ごと反ってはいけません。
キャッチ
キャッチに関してはそれほど難しくないです。
逆にキャッチが難しいと感じるのは正しく下に潜り込めていないからです。
よってキャッチが苦手な場合はその前段階のセカンドプルに問題があると考えましょう。
また陸上競技のパフォーマンスを向上させるためにクリーンを行うのであればそもそもキャッチはいらないのかもしれないという視点を持つことも大切です。
詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
まとめ
【今日のまとめ】
短距離・跳躍・投擲いずれにしてもクリーンは最重要種目。
正しいフォームで瞬発力を徹底的に鍛えろ!