「子供の足を速くするために練習したいけど、
何をやらせればいいかわからない」
そんな悩みを持っている親御様にこそ
読んでほしい記事です。
わからないときは坂道を走らせればいい!
本日の質問

内川
こんにちは、陸上アカデミアの内川です。
今日は小学生が速く走るための
練習方法について解説します。
今日の質問はこちら。

あなた
小学生の子供にかけっこを
早く走れるように教えるにはどうすれば良いですか?
ですね。
ではここから回答していきます。
結論
【今日の結論】
きちんと走り方を指導できる親は皆無なので、
走るだけで足が速くなる坂を走らせよう!
走るのが遅い理由は「フォーム」と「脚力不足」だ!
ではまず、なぜ走るのが遅いのかを
要素分解していきたいと思います。
これは
- フォームが悪い
- 脚力がない
の2つに分けることができます。
そしてこのどちらの要素も坂を走ることで
改善が可能なんです。
一方坂道を走っても足が速くならないケースがあります。
それはレースのペース配分や
カーブの走り方の習得といった要素です。
→【カーブを速く走るコツは地面に対して頭を真っ直ぐにすること】
しかし50m、100mをまっすぐ走る時に必要な基本要素。
これは坂を走ることでカバーすることが可能です。
坂を走るとこんなに、たくさんのメリットがある
完璧な練習は存在しない!
まず坂の練習にはメリットとデメリットが存在します。
これはどの練習でも同じですが、
完璧な練習というものはありません。
なぜなら練習の目的が違うので、
全ての目的にあった練習を作るというのは不可能だからです。
一つの伸ばせば他を伸ばすことは難しいということですね。
なので様々な練習スタイルを試すということが
必要となってきます。
まず坂道のメリットから解説していきます。
坂道のメリットは以下の三つです。
- どこにでもある
- 基礎練ができる
- 指導側の専門知識がいらない
それぞれ見ていきましょう。
→【運動神経を良くしたいならコーディネーショントレーニングだ!】
1.どこにでもある
これは意外と大切ですよ。
例えば小学校が近くにあればそれで練習ができますし、
運動公園が近所にあればとても楽です。
しかしそう都合よくグラウンドはありません。
仮にあったとしても例えば小学校だと
土日はサッカーや野球のチームが使っているかもしれません。
このように考えると
意外と個人でかけっこの練習ができる場所ってないんですよね。
しかし坂道なら比較的どこにでもあります。
なのでグラウンドを探すよりもすぐ見つかるかと思います。
2.走りの基礎練習ができる
これも同様に大切な要素です。
理由はあるスポーツにおいて
「とりあえずこれだけはやっとけば大丈夫」
という練習って意外と少ないですよね。
野球でもサッカーでも「これだけやっておけば問題ない」
という練習はあまりないかと思います。
シュート練習だけやってればドリブルスキルは身につきませんし、
バッティング練習だけでは守備は上手くなりません。
なのでドリブルやって、シュート練習をする。
さらにはトラップ練習、フィジカル練習をするという
いくつもの練習が必要になります。
これは陸上競技、かけっこでも同じで、
「この練習だけやっておけばいいですよ」がほぼありません。
ですが坂道は
「フォームの矯正」、
「脚力の向上」それから
「心肺機能の向上」
この3つの要素を同時に鍛えることができる
優秀なトレーニングです。
なので大学や実業団の陸上部の合宿でも使われていたりします。
(実際内川も大学の合宿で毎回坂ダッシュを行い、
毎回のように吐いていました…。)
なので一石二鳥どころか三鳥もできる練習が坂ダッシュなのです。
3.指導側の専門知識がいらない
これまでの1,2のメリットもとても大きなものですが、
正直一番大きなメリットはこれだと思います。
子供の足を速くしたくても何をアドバイスすればいいかわからない
小学生の子供の足を速くしたいと思い立って
子供と一緒に練習するとします。

ご両親
かけっこの練習させよう!
その時にかけっこ(走り方)をきちんと教えられる大人って
何割いると思いますか?
私の感覚だと正直1割もいません。
理由は「大人自身がきちんと走れる方が1割もいないから」です。
みんな走り方はどこかしらおかしいんですね。
自分の頭の中にないものを教えられませんし、
それは子供にやれというのも酷です。
絶対数%いる「自分はできる!」と思っている親
ところがこういうことを言うと、

ご両親
いや俺(私)は子供の頃から走るのが速かった!
だから子供にも教えられますよ!
という方が必ずいるんですよ。
こういう方にはこう聞き返します。

内川
どうすれば速く走れるのか?
すると大抵こういう答えが返ってきます。

ご両親
体をまっすぐにして顎を引き、
腕は大きく振って弾むように走るんです!

内川
それはただの現象の解説です…。
断言しますが、それはただの現象の解説です。
速く走れる人の共通点を述べているだけですね。
子供に

子供
(三角形の面積の求める)この問題教えてよ!
と聞かれて、

あなた
それは底辺✕高さ÷2で求めるんだよ!
と言っているのと同じです。
それは公式教えてるだけであって、
解き方を教えてるわけではないですね。
方法論をツッコんで聞くと詰むという話し
なので

内川
じゃあどうすれば弾むように走れるんですか?

ご両親
それは跳ねるように…
となって具体的プランに落ちないまま
イメージだけ伝えて終了です。
そうではないですよね?
つまり「自分できちんと走れる能力」と
「子供にきちんと走らせられる能力」って
全く別モノということです。
まず子どもにきちんと走らせられるようにするには
自分がきちんと走れていなければなりませんし、
その上で「なぜこうなるのか?」
「こうなってしまう時はどういった練習をするのか」を
きちんと言語化できなければ、
子供に教えることはできません。
自分がきちんと走れる
▼
適切な練習を指示
▼
走れない理由を言語化
▼
適切なアドバイス
ここまでの全てができて、初めて
「子供にかけっこを教えられる状態」です。
子供に速く走らせたい!かけっこを練習させたい!と
やる気があるのはいいんですけど、
親がきちんと指導できないところが1番の問題なんですよ。
しかし走らせるつもりもない親よりは何倍もマシです。
そしてそういう方にこそ私は応援したいです。
そのための武器が坂ダッシュです。
坂ダッシュは専門知識がいらない理由
実は坂ダッシュをやらせれば専門知識はいりません。
理由は走り方が変であれば、
勝手に走るのが遅くなるからです。
つまり坂は正しい走り方でないと
速く走ることができないんです。
そして正しく走れなかったとしても、
その理由を解説する必要はないですね。
子供が何本も何本も走って
「さっきよりも速く走るにはどうしたらよいのか?」を考え続けて
試行錯誤するだけで正しいフォームが身に付きます。
なので親のやることは、坂まで連れて行って安全確認をしたり、
子供を励ましたりしてあげることだけです。
場合によっては一緒に走ってあげてもいいかもしれません。
コーチが素人でも問題ない。
これが坂ダッシュをやらせる最大のメリットです。
では続いてデメリットについて解説していきます。
坂ダッシュのデメリットはこれだ
坂ダッシュのデメリットは以下の3つです。
- 転ぶと危ない
- 公道である
- ケアが必要かつ本数を多くできない
というところです。
1.転ぶと危ない
これは読んで字のごとくですね。
土のグラウンドで転ぶよりもコンクリートで転んだ方が
激しく怪我をします。
気をつけましょう。
2.公道である
散歩やランニングしている人も大勢いるので、
公道をダッシュすることは違法ではありません。
しかしもちろん歩行者や、自転車それから自動車も行き来しますので、
必ず数人で安全確認を行ってください。
絶対に子供一人で練習させてはいけません。
3.ケアが必要かつ本数を多くできない
これはコンクリートであるというところに起因します。
実は陸上競技場のトラックも1cm下はすぐコンクリートです。
陸上競技場のトラック構造
これを知らずに

ご両親
陸上競技場では走らせるけれども
コンクリートの道路では体に悪いから走らせない
という親御さんもいるかと思います。
ですが本質的には同じです。
コンクリートだとかなり衝撃が返ってきます。
成長期だと体に負荷もかかりますし、
本数を多くこなす場合はきちんとケアもしなければなりません。
こうしたところに気をつけて坂ダッシュの練習をしましょう。
うまく使えばこのデメリットを打ち消して
余りがあるほどのメリットが得られます。
坂ダッシュで鍛えられる要素はこれだ!
はじめに「なぜ走るのが遅いか?」=
「フォームと脚力が不足しているからだ」という話をしました。
そして坂ダッシュはこの両方を鍛えられるという話もしました。
「両方鍛えられる」それは一体どういうことなのかを解説します。
坂ダッシュをするとフォームがきれいになる
坂ダッシュをするとフォームがきれいになる理由は、
汚いフォームだと坂道をうまく走れないからです。
足を後ろで回していれば一歩で全く進みませんし、
体をまっすぐにしていないと足を大きく回すことができません。
腕は前に大きく振らないと
身体全体を前に進ませることができません。
正しいフォームでないと速く進むことができないので、
速く進むために正しいフォームになるということです。
→【小学生の走り方がおかしいときに確認すべき3つのポイント】
坂ダッシュをすると筋力が付く
続いて坂ダッシュをすると筋力がつくというのは
誰でも分かるかと思います。
坂ダッシュやタイヤ引きなどの負荷をかけながら走る練習を
負荷走と言います。
自分の体重のみで走っている時よりも負荷をかけているということは。
必然的に筋力がつきます。
ウエイトトレーニングの理論と同じですね。
また負荷走なので心肺機能にも負荷がかかります。
普通に50m走るよりも辛いですね。
辛いということは、全身がより多くの酸素を
必要としているということです。
よって心配機能にも余計負荷がかかります。
また平面では意外と100%の力が出ていないことがありますが、
坂道は全力を出しやすいです。
心理的ブレーキがかかりにくい状況だからですね。
→【小学生が筋力をつけて足を速くするならバウンディング一択だ!】
実際に取り組むべき坂ダッシュのメニューはコレだ!
では最後に実際に行うべきメニューをご紹介します。
原則として距離は短い距離から
長い距離へ伸ばしてください。
理由は練習の始めの方が筋肉がフレッシュな状態なので、
短い距離で全力を出すトレーニングに向いているからです。
これを考慮するとこんなメニューはいかがでしょうか。
- 30m✕5
- 50m✕3
- 70m(or MAX)✕2
他にも
- 30m✕10
- 70m(or MAX)✕2
や
- 50m✕2
- 70m(or MAX)✕5
などいくらでも考えられますね?
その日は短い距離を中心に走るのか、
長い距離を中心に走るのかをきちんと決め、
その目的に沿ったメニュー構成というのを考えてみてください。
下り坂の練習も有用
ここまではすべて上り坂を走ることを想定していました。
しかし実は下り坂の練習も有用です。
上りは負荷をかけることによって
正しいフォームを習得することを目的としました。
それには追加で筋肉や心肺機能に負荷をかけることも
目的としています。
一方下り坂は通常のスピードよりも速いスピードが出ます。
なので下り坂で走ることによって、
これまでの自分では出せないスピードを
強制的に出すことができるわけです。
そしてそのスピードに体を慣れさせると、
いつのまにか平地でもそのスピードが出るということが望めます。
ただしこれは、
自分の許容上限より足をきちんと回せる方向けのトレーニングです。
なので体が出来上がっていない小学生や
中学生の早い段階で試すのはやめましょう。
さらに行う場合も急な下り坂ではなくて、
必ず緩やかな下り坂で走りましょう。
いきなり全力で坂を下るのでなくて緩やかに始め、
だんだんと速度を上げていくようにしましょう。
再三となりますが、
坂道のトレーニングは安全第一に行いましょう。
まとめ
【今日のまとめ】
かけっこを教えられない親こそ、
坂ダッシュを取り入れて子供を運動会で活躍させよう!
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