- ホーム
- コーチングのコツ
- 「短距離が速くなるメニューを教えてください」の回答は人それぞれなので答えられないという話。
「短距離が速くなるメニューを教えてください」の回答は人それぞれなので答えられないという話。
※2023/10/01にサイト改修を行ったためデザイン等崩れている箇所がありますが、順次修正予定です。
アスリート本人なら自分、ご両親ならお子様の走りを速くしたいというのは、このブログを見ている方全てに当てはまる質問だと思います。
だが残念ながらそのまま質問いただいても、速くなるためのメニューをズバリ提示することはできないです。
今日は全国区の選手でも陥る問題の捉え方の勘違いとその解決方法について解説していきます。
目次
本日の質問
先日陸アカの公式LINEに「短距離が速くなるメニューを教えてください」というメッセージが届きました。
その一連のやり取りについて思うところがあったので今回記事にしました。
[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/01/c4fc4680e68b3b317ed2c664c8955517.png” name=”悩める相談者”]速くなるためのメニューを教えてください
ちょっとあなたにも僕になりきってこの質問の回答を考えてみていただきたいんです。
現役アスリートは後輩から「先輩、速くなるメニュー教えてください!」と聞かれたとして、お父様は部下から「◯◯さん、どうしたら仕事デキるようになりますか?」と聞かれたとして、お母様はママ友から「どうしたらお宅の◯◯ちゃんみたく勉強もスポーツもデキるようになるの?」と聞かれたとしてそれぞれ考えてみてください。
.
..
…
考えていただきましたか?
ではここから内川の回答です。
結論
【今日の結論】
問題を1個に捉えていると永遠に解決できないので、構成要素に分解してその最小単位を1つずつ解決していこう!
では先程の質問であなたが困った理由から説明します。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/point-004/”]
答えが出なかった理由は条件が少なすぎたから
まず、先程あなたは質問をされて間違いなく困惑したはずです。
実際内川も困ってこう回答しました。
僕が困った原因は
原因が複数ある上にそれをかいけつするためのアプローチも複数あるから
です。
おそらくあなたが困った理由もこれと同じだと思います。
困った理由は原因と解決方法が複数あるから
1.原因が複数あると対処しきれない
原因が複数とは何かというと、例えば自分が風邪を引いたとします。
そのときに「いつでもこれ飲んだら絶対治る!」という特効薬はありますか?
ないですよね?
風邪、喉からくる人は銀のベンザ、鼻からくる人は黄色のベンザ、熱からくる人は青のベンザじゃないですか?
あなたの風邪に狙いを決めて、ベンザブロックなんですよ。
全ての原因に効く特効薬はないんです。
喉が痛いなら喉に効く薬を飲まなければならないし、鼻水が出るなら鼻水を抑える成分を飲まなきゃいけないんです。
ということは、[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/07/104691-e1564059557565.png” name=”患者”]風邪です…
じゃなくて[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/07/104691-e1564059557565.png” name=”患者”]頭が痛くて、40度近い高熱が出て、全身筋肉痛です…
みたいに症状を構成要素に分解しないといけないんです。
そうしたときに初めて[lnvoicel icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/07/118164-e1564059595686.png” name=”患者”]それはインフルエンザですね
と診断が下るわけです。
つまり事象を1つに捉えずに構成要素に分解しましょうということです。
走りが遅い理由が
- ピッチが遅いのか
- ストライドが短いのか
- メンタルが弱いのか
- スタートが苦手なのか
をきちんと分解して考えましょう。
2.解決方法も複数あるとどれがクリティカルかわからない
この状況の更に厄介な部分は、解決方法が複数あるのでどれが一番効くか個人差があるということです。
風邪の例をそのまま使いましょう。
インフルエンザだったとして、薬ってたくさんありますよね
- タミフル
- リレンザ
- ゾフルーザ
- ラピアクタ
- イナビル
同じインフルエンザの薬なのに、なぜいくつも種類があるんでしょうか?
単純ですね、どれが一番効くかわからないからです。
タミフルが効く人もいればリレンザが効く人もいます。
成分的な違いもありますし、吸引や経口、点滴など摂取方法も異なります。
それにある薬に対してアレルギーを持っている可能性もありますよね?
これを加味すると、「特効薬」が一人ひとり異なるということです。
…。
つまり「ストライドが短い」が原因だったとして、ストライドを長くする方法が必要なときに
- 股関節の可動域を広げるべきなのか
- 筋力をつけてひと蹴りあたりに進む距離を伸ばすのか
- 接地の瞬間の減速をなくすのか
がは人によって異なるということです。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/method-026/”]
必見!目標を達成するために必要な要素を見つけ出す具体的方法
で、僕が「それだけじゃなんとも言えない」って返信をしたところ、少し詳しい情報がやってきました。
追記情報はこれ。
- 中学生女子
- 100mが14秒後半
- 1週間のメニューを教えて欲しい
う~ん、まだ足りない。
(というかテキストだけでメニューを導くのは無理…)
ということで、アドバイスをお送りしました。
以下がそのアドバイスです。
この僕の返信だけ見て「なるほど!」とわかった人は相当にセンスがいいので、詳しく解説します。
まずは正しい問題解決の方法から。
(というか短距離専門の先生いるんかい!笑)
正しい問題解決の方法
決める順番は
- 目的地
- 現在地
- ルート
です。
旅行も「沖縄に行く」と決めて、今は東京にいるから羽田から那覇へ飛行機で行けばいいんだな!と決め、そのとおりに行くと沖縄に着きますよね?
それと同じです。
ですが旅行だとできるこの手順が、なぜか問題解決になるとできなくなってしまう人が非常に多いのです。
誤った問題解決の方法
それがこれです。
今回質問してくださった中学生の女の子もそうだったのですが、「手段」から先に決めたがるんですよね。
「とりあえず10時羽田発のANA34便に乗る!」って決めて、着いてから「あれ!沖縄じゃない!!」って騒いでるようなもんですね。
そりゃ狙った場所につくわけ無いですって、手段決め撃ちじゃ。
「手段」って「今」が「理想の状態」だったらいらないじゃないですか?
理想=14秒フラット
今=14秒フラット
だったら「理想と現実を埋めるためのメニュー」は「なし(現状維持でよし)」ですよね?
勉強にしても
理想=偏差値70
今=偏差値70
ならこのまま勉強してればいいですよね?
でも今=偏差値65だったら70-65=5を埋めるための行動が必要なわけじゃないですか?
なので「差を埋めるための行動=手段」と覚えておかないと、手段が目的化して迷走します。
きちんと旅行計画が立てられる人は、その原点に戻りましょう。
具体的な練習プランの決定方法
ということで具体的な練習プランの決め方をご紹介します。
まずは「自分がどうなりたいのか」を決めます。
例えば「半年後の県大会で14秒フラットで走りたい」のようにです。
ここで「数値」と「固有名詞」を入れるようにしましょう。
先程の例だと
です。
次に現状を正しく認識します。
「今は100m14″8」がこれに当たり、半年で0.8秒速くしなければいけないことがわかります。
このあとに考えるべきは、半年後に0.8秒縮めているとしたら何が必要か(もしくは何が足りないから0.8秒速く走れないのか?)を考えます。
ここで14秒フラットで走れている選手と比べて「ピッチが遅い」「スタートで出遅れている」という課題が見つかったとしましょう。
そうしたら「なぜピッチが遅いのか?」「なぜスタートで出遅れているのか?」を考えます。
スタートで出遅れる理由が「すぐに起き上がってしまうから」であれば「なぜすぐに起き上がってしまうのか」を考えます。
すると「前傾姿勢を保つ脚力がないから」という原因が見つかったなら、ここでやっと「じゃあ脚力をつけるための練習はなんだ?」と思考し、「スクワットだ!」となるわけですね。
一方同様にスタートが遅く、その遅い理由が「反応速度が遅い」選手がいるとしましょう。
この選手は「反応速度を速めること」が解決方法になるので、「ひたすら音を聞いてからの反応を速める練習」が最適解になります。
同じ「スタートが遅い」でも課題克服のためのアプローチが異なりましたね?
なのでちゃんと「自分に効く特効薬はなんなのか?」を理解して処方してもらわないといけないわけです。
鼻風邪なのに青のベンザ飲んでもしょうがないわけです。
ついでに補足すると、小学生のかけっこ教室で20人30人を同時にレッスンしているのは、腹痛、頭痛、骨折、中耳炎、花粉症、インフルエンザの患者にまとめて同じ胃腸薬処方しているようなものです。
たまたまそれが効く人もいる。ということですね。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/method-017/”]
全国区選手も間違える現状認識の重要性
とはいえ、これを現役時代に自分一人でできる選手は皆無です。
というかできれば間違いなく全国大会に出られます。
理由は陸上競技に関わらず、スポーツや勉強、仕事でも、というか人生そのものが現状よりもより良くしようというゲームだからです。
人生とは自分の問題を的確に見つけ、素早く解決するゲームである
つまり人生とは問題解決の連続なので、問題解決が上手ければ上手い分成功するようにできているわけですね。
RPGで攻撃力上げたいのに防具強化しませんよね?
それと一緒です。
問題解決に結びついている手段を選択してそれだけを強化していけばよいのです。
じゃあ育成ゲームが上手い人は人生の問題解決が上手いかと言うとそういうことでもないです。
ゲームは原因と結果の関係性がわかりやすいので誰でも問題解決できるようになっています。
すぐ倒されてしまうのであればHPが少ないし、なかなか敵を倒せないのであれば攻撃力が足りないです。
じゃあHP上げよう、攻撃力上げようとなりますが、人生は構成要素が多すぎるんで、本当の問題(=真因)がすぐに見つからないことが多いですね。
だから問題が見つかりさえすれば解決できることも、正しい問題を見つけられないからいつまで経っても成長しないことが多々あります。
具体例を挙げます。
お互いに問題点が100個ずつあった選手がいて、片や1年間に問題を3個解決した。
もう一方は問題を30個解決したとします。
するとどう考えても30個解決した後者の方が地区大会を突破し、県大会でも戦えるかもしれませんね?
その次の年には問題を70個クリアして全国大会にも出場しているかもしれません。
(とは言え問題というのは解決した側からまた新しい問題が発生するという厄介な特性を持っているのですが…。まあ新しい問題が発生というより、それまではレベルが低くて見えていなかった問題が見えるようになる(具現化する)ということなのですが…。)
なので「正しい問題設定と正しい問題解決」をできる選手は希少で、彼ら彼女らは希少故に全国大会に出場できるということです。
更に言うと、これをできるコーチも皆無です。
選手が自分でできなければコーチがやる以外にないですからね。
だからコーチのいい学校はずっと強いわけですね。
全国に出ていてもできない要素分解の難しさ
ちなみに僕が指導している吉田選手は全国出てますができませんでした。笑
(できないのに全国出ちゃうあたりが彼の凄いところなんですが…)
[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2018/10/0e9f8f5c9dcd3d7ec1dcb2bbd75b88e8.png” name=”吉田選手”]うっちー、どうやったら自己ベスト出るかな?
というやり取りをしたのは懐かしい記憶です。笑
なので、「できていない選手もいるけど、総じてできると強くなれる」ということので、しっかり理想に到達していない原因を要素分解して、その要素1つ1つを解決できるような練習メニューを実行し、問題を潰していきましょう。
するとあなたはスルスルと結果を出せるような選手になるでしょう。
がむしゃらに根性練習行っても、強くはなりません。
まとめ
【今日のまとめ】
問題を1個に捉えていると永遠に解決できないので、構成要素に分解してその最小単位を1つずつ解決していこう!
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/method-030/”]
この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!
コメント