スポーツドリンクは自作すると練習や試合中のパフォーマンスを向上させる
※2023/10/01にサイト改修を行ったためデザイン等崩れている箇所がありますが、順次修正予定です。
前回の記事で「スポーツドリンクは薄めたほうが良いのか」ということを解説してきました。
→スポーツドリンクは少し薄めるか、そのまま飲むと吸収率が高まる
その続きとして、今回はスポーツドリンクを買うのではなくて自作し、かつ練習や試合のパフォーマンスを向上させる方法について解説していきます。
目次
本日の質問
[lnvoicel icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2020/10/IMG_20201022_094603-scaled.jpg” name=”内川”]
こんにちは、陸上アカデミアの内川です。
今日は「スポーツドリンクを自作する方法」ということについてお話していきたいと思います。
[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/01/c4fc4680e68b3b317ed2c664c8955517.png” name=”悩める相談者”]
スポーツドリンクの簡単な作り方を教えてください。
部活などで一番スポーツに効果的な飲み物を飲みたいので。
今日はこの質問に回答していきます。
まとめると
- 部活(スポーツ)のパフォーマンスを上げるドリンクの作り方は?
ですね。 ではここから回答していきます。
そもそもスポーツドリンクは自作できるのか?
スポドリ自作の方法を解説する前に、そもそもスポーツドリンクは自作できるのか?について解説していきたいと思います。
結論からお話するとスポーツドリンクは自作できます。
これは身も蓋もない話をすると、美味しいか不味いかはおいておいて、スポーツ時に飲むドリンクは全てスポーツドリンクと呼べるからです。
水に食塩を1つまみ入れておけば、スポーツドリンクとしての体をなすことはできますが、それがパフォーマンスを向上させるかといったらまた別問題です。
ではパフォーマンスを向上させるドリンクとは一体何なのでしょうか?
パフォーマンスについての理解を深める
パフォーマンスを向上させる成分について考える前に、そもそもなぜパフォーマンスが落ちるのかということを考えていきましょう。
パフォーマンスが低下するケース
練習や試合開始時を100とすると、練習を重ねるに従って以下の2つのマイナス要素が溜まってきます。
- 疲労物質
- エネルギーの枯渇
1.の疲労物質という話をすると、
[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/08/245689-e1565327900985.png” name=”ちょっとスポーツしていた人”]
ああー、疲労物質って乳酸ね
という反応をしますが、乳酸は疲労物質ではありません。
これについては詳しく別で記事を書きますが、乳酸は疲労物質ではなくて再利用可能なエネルギーです。
最近の研究でも筋肉疲労の全てが解明されているわけではありませんが、疲労物質といえるものは水素イオン(H+)だと言われています。
そして2つめのエネルギー枯渇。
これに関しては、筋肉を含めた人間の身体が動くためにはATP(エーティーピー:ユーロみたいなもの。ユーロ圏内ではどの国でもユーロが通貨として使えるように、人間の体内であれば筋肉でも肝臓でもエネルギーを生むためにはこのATPというエネルギー通貨が用いられる)が用いられます。
つまり、パフォーマンスの低下とは水素イオン濃度が上昇し、ATPが枯渇することにより生じるわけです。
従って水素イオン濃度の低下を押さえ、ATPを補給すればパフォーマンスの低下は抑えることができるということです。
続いてパフォーマンスが向上するケースを見てみましょう。
パフォーマンスが向上するケース
パフォーマンスを向上させるには以下の3つの方法が考えられます。
- 神経伝達速度を上げる
- 血管拡張作用を用いる
- ATPの在庫を増やす
この3つは主にトレーニーと呼ばれる筋トレをしている人たちが好んで使っている手法です。
トレーニング前に「プレワークアウトドリンク」と呼ばれる自分独自のドリンクを飲んで、筋トレの効果をアップさせています。
それぞれの効果を記載しておくと
- 神経伝達速度を上げる:扱える重さ&回数の向上
- 血管拡張作用を用いる:トレーニング効果の向上&扱える重さ&回数の向上
- ATPの在庫を増やす:回数の向上
になります。
が、この記事を読んでいる「小中学生の保護者様」「部活を頑張っている中高生」がここまでする必要はないかと思いますので、この部分(パフォーマンス向上)に関しては触れずにいきます。
(※基本大丈夫ですが、稀に海外製のサプリだとドーピング検査に引っかかることがあるので、プロテイン等の極めてメジャーなサプリメント以外を接種するのはオススメしておりません。)
ということで、練習や試合中のパフォーマンスを向上させるを、小中高生向けに言い換えると「パフォーマンスを落とさない」になりますので、ここからパフォーマンスを落とさないためのスポーツドリンクの作り方を解説していきたいと思います。
パフォーマンスを落とさないために摂取したい成分
上でパフォーマンスの低下は水素イオンの増加とATPの減少で起きるということを解説したので、水素イオンを押さえてATPの生産を増やせばパフォーマンスの低下は防げることとなります。
そのために必要な成分をそれぞれ解説したいと思います。
水素イオンと乳酸を素早く分解し、再利用するためのクエン酸
まず水素イオンに関しては、定番ですがクエン酸です。
これは水素イオンと乳酸(乳酸も基本は再利用可能なエネルギーですが、溜まりすぎると体内で処理に困る)をクエン酸で再生産を促すのに必要だからです。
詳しくは別で記事が3本書けるので割愛しますが、「解糖系」「クエン酸回路」「電子伝達系」で調べていただくと詳しく書いてあります。(が、内容が生命科学科の大学生が習う内容なので、普通のブログ記事の感覚で読むとちょっと何言ってるかわからないと思います。)
ということで、水素イオン濃度の低下にはクエン酸を摂取したら良いのですが、量に関しては正直決まっていません。
というのも身長体重によって異なりますし、体内にも存在する物質なので必要量以上を摂取したとしても排出されてしまうからです。
目安としては1~3gを摂取する程度で良いと思います(僕もドリンクに混ぜる際は1~3g入れます)。
ATP生産を促すための糖質
続いてATPについてですが、これは糖質です。
昨今糖質制限が叫ばれて久しいですが、基本的にスポーツをしていて糖質を制限することは悪手です。
理由は人間の身体は体内の糖→脂肪&筋肉の順でエネルギーとするからです。
なので体内の糖が足りなくなると、脂肪&筋肉を分解しだします。
脂肪分解するなら良いじゃん!と思うかもしれませんが、同時に筋肉も分解されてしまい、スポーツのパフォーマンスを向上させるためにつけた筋肉が、ソッコーなくなってしまうのでオススメしません。
これもあって筋トレしている人(ボディービルダーとかフィジーカーとか)は脂肪を絞る際にあまりランニングをせずに基本的には食事で絞るわけです。
筋トレしている人の話が出たのでついでに彼らの例を上げて糖質の話をすると、彼らは自分でワークアウトドリンクって言う名前のドリンクをトレーニング中に飲みます。
そこに何が入っているかかというと水と糖質(とアミノ酸)です。
なぜ糖質を入れるかというと、トレーニング中に体内の糖質が不足し、大切な筋肉が減らないようにですね。
加えて糖質はATP生産の原料にもなるので、糖質を摂ることにより
- 筋肉減少リスク低下
- エネルギーの枯渇防止
という2つの効果を得ているわけです。
そしてこれは運動をしている全ての人に当てはまります。
糖質は我々の身体で言うガソリンであり、運動が1時間を超えた辺りからガス欠になってきます。
エネルギーの元々蓄えている分がなくなってくるということです。
1時間と言うと、サッカーやラグビーなどの球技を始め、陸上でもアップする時間くらいです。
1時間かけてアップをし、そこから本メニューに入ろう!となった段階で、元々あったエネルギーは枯渇してしまうということです。
なのでその間で摂取するドリンクはきちんと糖質が入っているものを選ぶのが良いと思いますし、自作するのであれば糖質を入れるべきです。
スポーツドリンクに入れる糖は何があるのか?
最後に市販のスポドリ、それから自作する際の糖質について解説します。
市販のスポドリに入っている糖は果糖ぶどう糖液糖
市販のスポーツドリンクは基本的に果糖ぶどう糖液糖が入っています。
これらが健康に良い悪いの話は一旦置いておいて、前回の記事で解説した浸透圧の観点からお話します。
ブドウ糖は分子量(ブドウ糖1個の重さ)が小さいです。
分子量が小さいということは、浸透圧が高くなりがちです。
なぜかというと、ブドウ糖1分子が1の大きさとして、容量100という箱の中にブドウ糖を詰め込んだら100個入ります。
一方、1つの大きさが100の物質があったとしたら、100の容器には1個しか入りません。
つまり濃度としてはブドウ糖が100倍濃いということになり、浸透圧が高くなります。
浸透圧が高くなるということは、それだけ胃腸で吸収しづらいということになるので、少し厄介ですね。
自作のスポーツドリンクには糖質として何を入れればよいのか?
ということもあり、自分で作るんであればブドウ糖を溶かすか、より良い手段として甘くない糖というのがあります。
これはブドウ糖よりも分子量が大きいんで、それを溶かすことによって浸透圧を下げることができます。
するとブドウ糖が溶けている普通のポカリスエットなどよりは浸透圧が低いポカリが出来上がるので、胃、小腸での吸収に優れているというかなりよいドリンクが出来上がります。
そしてこの甘くない糖の代表はマルトデキストリンというものです。
MDていうやつですね。
おすすめのマルトデキストリンは『粉飴』
マルトデキストリンは商品名で言うと、1番ポピュラーなのは粉飴というものです。
確か1kg700円ぐらいで売ってます。
元々は料理用とか入院中の動けない患者さんが点滴とか飲み物しか取れない、固形物食べられない、けれどもエネルギー摂らなきゃいけない時に粉飴というマルトデキストリンを溶かし、エネルギーとして使われていました。
マルトデキストリンでドリンク自作したいっていう場合は大体、大人でいうと体重70kgぐらいの人でいうとドリンク1Lあたり40 gぐらいのマルトデキストリンを溶かすと良いです。
なので半分。
例えば体重が35kg ぐらいであればこれが20g で良いでしょうし、子供の体重をそれぞれ考えて入れてほしいなと思います。
それぐらいのマルトデキストリンを入れれば糖質は十分摂れており、長時間の練習でもエネルギーが枯渇しないということになります。
1Lでこの量なので、2L作る場合はそれの倍の量と計算していけばトレーニングを2時間しても3時間しても、何も飲まないときや、普通の水とかお茶とか飲んでる時に比べるとパフォーマンスは落ちない、ということになります。
筋肉の材料であるアミノ酸も摂取すべし?
ここまででクエン酸と糖質を飲んだほうが良いという話をしましたが、他にも運動中に飲んだ方が良い、摂取した方が良いものでアミノ酸というものがあります。
なぜなら運動してる時は筋肉を使ってるので、筋繊維は絶えず入れ替わっているわけです。
分解されて合成されて分解されて合成されて‥
つまり分解と合成が同時に起きてるわけです。
運動中はその活動がより活性化されてるんで、分解されすぎてしまうと筋肉をつけたいのに分解されてしまいます。
だからそれを防ぐために筋肉の材料であるたんぱく質の最小単位のアミノ酸。
そういうものを取っていくことが大事になってくるということなので、アミノ酸もスポーツドリンクを自作するのであれば必要ですが、アミノ酸についてはこちらの記事ですでに解説しているので、気になる方はこちらを読んでいただければと思います。
→試合中や1日練習では特製ドリンクでアミノ酸と糖質を摂取し、エネルギー切れを防げ!
まとめ
スポーツドリンクを自分で作るのであれば、クエン酸と粉飴などのマルトデキストリンが入っているものを溶かして飲む。
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