陸上競技の記録が上がらないのは練習不足ではなく知識不足だからだ!
※2023/10/01にサイト改修を行ったためデザイン等崩れている箇所がありますが、順次修正予定です。
「全国大会に出たいからもっと練習量を増やすべきだ!」と思っていたら一旦思い留まってほしい。
週6、7で部活をしているのであればあなたに足りないのは練習量ではなく、自分の身体と競技に対する知識を増やすことである。
今日はスポーツ熱中するあなたに警告の意味も込めてこの記事を書いてみた。
目次
本日の質問
今日は陸上に限らずスポーツを行っている方全員に読んでいただきたい記事です。
[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/01/c4fc4680e68b3b317ed2c664c8955517.png” name=”悩める相談者”]【陸上の自己練習について質問です。】
陸上部に所属している高校1年生の男子です。
短距離をしています。
僕は入部した当初から練習についていけていなかったのですが、11月頃からやっと練習についていけるようになりました。
しかしその時期から冬季練習に入り、またついていけないようになりました。
辞めたい、逃げ出したいと毎日思っているのですが、強くなりたい、速くなりたいと思うので3年間続けようと思いました。
そこでこれから練習以外にも自己練習をして少しでも体力をつけ、練習についていけるようになりたいのですが、どのようなことをすればよいでしょうか
今日はこの質問に回答していきます。
まとめると
- 高校1年男子
- 陸上部の短距離選手
- 11月にやっと練習についていけたが、冬季練習でまたついていけなくなった
- 自主練はどんなことをすればいいか
ですね。
ではここから回答していきます。
結論
【今日の結論】
日本人のクオリティが低いのは、スポーツのテクニックにしか興味が無いから。
テクニックの前に知識を身に着けないとただのスポーツバカになってしまう。
今回は日本スポーツ界の根源的問題に切り込んでいくので、しっかりついてきてくださいね。
この記事を全て読み終わった時あなたは「やべっ!もっと勉強しよう…」と焦るはずです。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/longjump-010/”]
スポーツは勉強に余裕がある者がする最高の暇つぶしである
この記事で最も伝えたいことを言います。
それは「人間で最も必要なのは頭の良さで、それからぐんと離れてスポーツ、芸術、美食などの文化が存在する」ということです。
これはある種のタブーです。
おそらくスポーツ業界の99%の人間を敵に回す発言です。
でも陸上競技の裾野拡大と、スポーツの業界の地位向上のためにあえて発言します。
「頭の悪い人間はスポーツをやるべきではありません」
理由は人生でスポーツより大切なことがあるからです。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/longjump-007/”]
スポーツを教えている人間が「スポーツの優先度は2番以降」という意味
人生で大切なのは間違いなく「勉強」です。
ここに議論の余地はありません。
学歴がないよりあったほうがいいですし、Fランか国立か選べるなら国立が正解です。
理由は選択肢が増えるからです。
広い選択肢からあえて低いものを選ぶことはできます。
しかし狭い選択肢から高いところは選べないのです。
もっと具体的な例を挙げます。
東大卒なら官僚でも一流商社でも中小企業でもベンチャーでもどこでも入れる可能性があります。
でもFランでは中小企業とベンチャーしか入れません。
もし東大卒だったA君の適正がベンチャーだったとして彼は選択できますが、万一Fラン卒のB君の適正が一流商社でも、彼には商社を選ぶことができないんです。
「どちらが優れている」ということではなく、単純に「自分を活かせる領域を見つけられる可能性が広がる」のが、「学力がよいこと」だったわけです。
なので子供のリソースを奪ってかけっこ指導している私は、「勉強を放り出してまでスポーツをしなさい」とは口が裂けても言えません。
むしろ「勉強が追いついていない子は入会を見合わせてください」とまで言っています。
これは「スポーツバカ」を生まないためです。
なのでジュニアスポーツのコーチや監督が「勉強なんてしなくていいんだよ!」なんて発言をしているのを見ると、本当に無責任だな。と思います。
スポーツバカはアメリカに行ったら得意のスポーツすら取り上げられる
話は変わりますが2016年のリオデジャネイロオリンピックで日本は12個の金メダルを含む41個のメダルを獲得しました。
これは全体6位の大変素晴らしいことです。
一方メダル数1位のアメリカは121個のメダルを獲得しています。
ここだけを見ると、日本のスポーツのクオリティはアメリカに劣っていると言えます。
ただ人口補正がかかっているので、それぞれ獲得メダル数を人口で割ってみましょう。
|
獲得メダル数 |
人口 |
比率(✕10-7は除く) |
アメリカ |
121 |
3.3億 |
3.67 |
日本 |
41 |
1.3億 |
3.15 |
人口比率でも劣っていることがわかります。
この差はどこから生まれるのでしょうか?
アメリカではスポーツバカは生き残れない
アメリカではエリートの特徴であるアイビーリーグ(ハーバード大学、イェール大学、ペンシルベニア大学、プリンストン大学、コロンビア大学、ブラウン大学、ダートマス大学、コーネル大学の8校で、アメリカ北東部に位置する名門私立大学の総称)の学生は、オリンピックに出場するようなアスリートも多いです。
彼らは学業成績が低いと選手として出場することができません。
これはオリンピックに選ばれていても同様です。
成績が悪いとオリンピックすら出られない。
となれば大学側も学生側も全力で勉強します。
日本はスポーツバカが跋扈している
一方日本は?
野球ができるだけ、足が速いだけで一流大学に合格することができます。
しかし将来社会に出て「野球ができるから一生金がもらえる」「足が速いから一生安泰」ということはありません。
一握りのプロ野球選手になったとしても、引退後のキャリアを考えなくてはなりません。
現代の高度化社会では頭脳を駆使して価値を生み出した者にその報酬として金が集まります。
なので、生きていくためにはどのみち「高い頭脳」が必要なのです。
日本の体育会制度は学生時代はとても優しいものかもしれません。
自分の好きなスポーツだけやっていれば将来の「道」が切り開ける。
でもその「道」は大学卒業して社会人になった瞬間に途切れていることを忘れてはいけません。[kanren url=”https://rikujou-ac.com/longjump-008/”]
頭が良くないとスポーツは上達しない理由
ここまでで
という話をし、その理由を
という理由を付けました。
ここで仮に [lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/01/1_26.png” name=”ボンボン”]いや、うちは金持ちだから将来の心配はしなくていい、今スポーツが上達すればいいんだ!
という坊っちゃんからの意見があったとします。
それに対しても私は
と返すでしょう。その理由は
です。
どういうことか?
短距離選手は最も人間の身体を理解していないといけない
結論からお話すると「スポーツ競技者はもっと自分の身体のことを知る努力をしろ!」ということです。
今回の質問者様は陸上部所属の学生です。
陸上部所属かつ短距離ということは、全スポーツの中で最も頼るものがない競技を行っているということです。
大概のスポーツは道具を使いますし、また使わない競技(体操や水泳)でも陸上競技ほど人としての根源的能力を要求されるスポーツはありません。
例えば泳ぐのが遅くても、バク転が出来なくてもそれはある程度の練習が必要な動作だからということで納得ができます。
これらは全員が元々0でそこから練習してプラスにしていく動作です。
しかし「走る」は元々備わっている動作です。
健常な子供であれば放っておいても歩き出し、そのうち走り出します。
「走る」は唯一デフォルトでできるスポーツの動作なのです。
他にも「投げる」「蹴る」はデフォルト動作ですが、これらをスポーツとして成り立たせる上では、いずれも道具が必要です。
つまりデフォルト動作の「走る」を極めた陸上競技の短距離選手は、最も自分の身体のことを理解し、かつその力を100%引き出せる状態になっているべきなのです。
陸上選手がどこの筋肉を鍛えればいいですか?という質問自体ナンセンスである
こういう話をすると[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/01/c4fc4680e68b3b317ed2c664c8955517.png” name=”悩める相談者”]じゃあどこの筋肉を鍛えらたらいいんですか?
ということを言ってくる方がいます。
その質問をすること自体が今回の趣旨を理解していないことに気づくべきです。
例えば野球をしていてどの筋肉を鍛えたらいいですか?というのはまあわかります(いや、本来は調べろよって思いますが)。
しかし陸上競技なんて行う動作決まっているじゃないですか?
スタートからゴールまで一貫して走っているだけですよ?
どの局面でどの筋肉を使っているかなんて一目瞭然ですよ。
使う筋肉がわかっているのであれば、その筋肉を強化すればよいですよね?
それがわからないというのは、ただの怠慢です。
本当に知らなくてはいけないのは「どの練習をすればいいか?」ではなくて「どの能力と筋肉を鍛えなければいけないのか?」です。
それがわかればあとは「ハムストリングス 筋トレ」でググれば一発です。
そのひと手間、自分が取り組んでいる競技が極めてシンプルにもかかわらず、そのひと手間を怠ったばっかりに、あなたの記録はいつまで経っても上がらないんです。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/longjump-013/”]
頭が悪いとこうした話を理解できない
そしてここまで話しても、頭が悪いと次の3つの点で話を理解できません。
- ここまでの話が理解できない
- どの能力を伸ばしたらいいかがわからない
- 科学的知見に基づいたメソッドを理解できない
それぞれ解説します。
1.ここまでの話が理解できない
これはそのままですね。
[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2018/12/1022298-e1546411547218.png” name=”スポーツバカ”]なんか頭悪いとか言ってるよ、でも俺はスポーツ頑張るからいいんだ
と自己完結してそうです。
こういうタイプはそもそもが理解できないので説明するだけ無駄なのでスルーします。
2.どの能力を伸ばしたらいいかがわからない
突然ですが走りに必要な下半身の大きな筋肉はこちらです。
一方こちらはクリーンというウエイトトレーニング種目の解析図です。
この2つの図を見て、
クリーンという種目は走りに必要な主な筋肉を鍛えられるんだな。デッドリフトと途中まで同じ動きだけど、両方取り組む意味あるのかな?
こういう思考に至ることが必要です。
これを[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2018/12/images.png” name=”スポーツバカ”]クリーンっていうのをやればいいのか!
で思考が完結してしまうと、効率的なトレーニングを行うことが出来ません。
3.科学的知見に基づいたメソッドを理解できない
これも前時代的価値観の指導者に多いです。
例えば[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2018/12/544825.png” name=”前時代的頑固コーチ”]ウエイトで鍛えた筋肉は使えない!
走り込みで筋肉をつけろ!
や[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2018/12/114527.png” name=”前時代的頑固コーチ”]プロテインなんかに頼るな!
という暴論ですね。
走り込みでつけようがウエイトでつけようが筋肉は筋肉ですし、言ってしまえば走るという動作も自分の体重を負荷としたウエイトトレーニングです。
プロテインは単なる牛乳を濃縮したものです。
こうした科学に基づかない指導や意見が溢れている日本のスポーツ界にいながら世界と戦うためにはそれなりの科学的知識をつけなければなりません。
日本は体育大学が頭悪くても入れ、かつ授業の半分が体育みたいな構造になっているので「スポーツ=バカ」となっていますが、本来のスポーツは極めて科学的なものです。
解剖学、栄養学、生理学、バイオメカニクスなどが複雑に絡み合い、パフォーマンスを向上することができるので、スポーツ競技者たるもの科学者であるべきなのです。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/longjump-012/”]
「努力は必ず報われる!」は甘美なウソだ
最後に努力は報われないという話をします。
どんな努力でも報われるなんてそんな甘い話、あるわけない
ここまでで陸上選手が最も人体について理解し、使いこなせていないといけないということはおわかりいただけたでしょうか?
ではその短距離選手の実情はどうでしょうか?
おそらくこの記事を読んでいるあなたも短距離および跳躍選手かと思います。
こんな考えが当てはまっていたら要注意です。
- 毎日真面目に練習していれば結果が出る
- 一番大切なのは根性だ
- 努力は必ず報われる
- 自分の結果が出ていないのは努力が足りないからだ
これはいずれも誤りです。
真面目に練習していてもその練習が間違っていたら一向に結果は出ませんし、努力しないで1番になった人はめちゃめちゃ努力して2番の人より尊いです。
自分の結果が出ないのは努力が足りないからではなく才能が足りないからかもしれません。
こうした「真実」は子供の目には触れないようになっていますが、大人ならみんな知っている事実です。
スポーツや勉強で真剣に競争していた人は誰しもがどこかで「あ、自分の才能はここまでだ」ということを悟ります。
ですがこのおかげで「自分の才能がある分野」と出逢えるのです。
私はこれを「積極的諦め」と呼んでます。
[kanren url=”https://rikujou-ac.com/longjump-014/”]
あなたのタイムが上がらないのは練習不足ではなく勉強不足だから
この積極的諦めができる唯一のケースは「自分の全力を出し切ったにも関わらず、トップとは圧倒的な差があった時」のみです。
つまり中途半端な努力や熱意で結果が出なかった、いわゆる燃え尽きることができなかったら諦めることは出来ません。
それを防ぐためにも結果を出すためにできることは全てやらなくてはいけないのです。
この「結果を出すためにできることは全てやる」という視点で見たときに行うべきは
- 効率的なトレーニング
- 動きの研究
- 最適な食事学
- 適切な目標管理メソッド
など多岐にわたります。
決して「毎日練習をきちんとする」なんて程度では足りないことがおわかりになるでしょう。
日本のスポーツ界は「努力が目標」になってる
そう、現在のジュニアアスリートを含めたスポーツ界は
これが最大の評価対象となっています。
しかし他人より努力しないで同じ結果が出るならそれは尊いことです。
それはズルでもなんでもありません。
そのために効率的なトレーニング、栄養学の知識を勉強するべきなのです。
全てのスポーツ知識は高度な内容なので義務教育で落ちこぼれていては理解することが出来ません。
なので
本当に必要な努力をするために、きちんと勉強しましょうね。
ということを声を大にして言いたいです。
自分が勉強してこなかったスポーツバカのコーチ陣からは出てこない警告です。
方向性の正しい努力をすれば裏切られない!
これはかの有名なダルビッシュ選手も言っていますが[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/01/63995_1397_ad26f2e0_9ad10bc0-e1546411234482.jpg” name=”ダルビッシュ”]考えなしの努力は普通に裏切ってくる
です。
努力の量が評価されるのは漫画の世界だけです。
現実には100mで日本1になりたいのに、毎日水泳の練習をしていたら一向に足は速くなりません。
正しい方向に最高率で努力をしましょう。
持てるパワーの95%を努力の方向性を策定することに注いで道を作ります。
残りの5%で作った道をひたすら走りましょう。
この努力は必ず報われます。
まとめ
【今日のまとめ】
練習量に逃げずに、少ない練習で効果を出すにはどうすればいいか?をこれまでの10倍考え、そのための行動をしよう!
この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!
コメント