「うちの子、かけっこが遅くて悩んでいる…
でも専門の教室に通うのは難しいし、親が教えるのもどうしたら…」
そんなお悩みを持つ保護者の方も多いのではないでしょうか?
特に小学生のお子さんが「もっと速く走りたい!」と言い出した時、
自宅でできる効果的な練習方法があれば嬉しいですよね。
今回は、特別な知識がなくても親子で取り組める、
足が速くなるための自主トレーニングについて、
保護者の方からの質問に答える形でお伝えします。
本日の質問

内川
こんにちは、陸上アカデミアの内川です。
今日は自宅でできる足が速くなる自主トレを教えて下さい
という質問に回答していきます。

あなた
小学生が足の速くなる自主トレーニングで
教えてほしい事があります。
小学5年生女子の父です。
球技まったくダメ体も小さく絵を書いてばかりの内気な娘ですが、
走る事が好きになったようで、
親としてできるだけ応援したいと思っています。
今年の秋に初めて出場した市内陸上大会で
短距離100mは14秒70のタイムでした。
6年生の県大会で活躍する為には
13秒台が必須のようで目標にしています。
最近スパイクを買ったので14秒前半が出るかと期待したのですが、
タイムが上がりません。
13秒台の子と比べると
一歩一歩の歩幅が少し小さいように感じます。
また後半の失速も感じます。
そこでトップスピードを45m付近にもってくるように
アドバイスしたのですが、素人なものでそれが正しいのか不安です。
また、両足ジャンプや縄跳び、
バウンディング中心の練習で歩幅UPにチャレンジしています。
しかしそもそもそこが問題ではないのかもしれません。
この状況を改善する為のポイントと
その為のトレーニング方法を教えていただけないでしょうか。
まとまりのない長文で失礼しました。
今日はこの質問に回答していきます。
まとめると
- 小5女子の父親
- 100mが14秒70
- 目標は13秒台
- 家でできる練習方法を教えてほしい
ですね。
ではここから回答していきます。
結論
【今日の結論】
素人が走りを教えようとしてはいけない。
教えなくても正しいフォームが身につく練習方法を試すべき!
ではなぜ「教えてはいけない」という回答になるかを解説します。
動画版
書き起こし版
こんにちは、陸上アカデミアの内川です。
このチャンネルは走り幅跳びで日本7番だった内川望が、
「足を速くしたい小学生のお父さんお母さん」、
それから「実際に陸上競技をやられている中学生・高校生・大学生」に向けて
足が速くなったり、それから体をきちんと作っていける方法を
お伝えしていくチャンネルです。
導入/これまでの話
今日は、運動会を間近に迎えた沢山の方に向けた動画となっています。
東京の世田谷でレッスンをしてるんですけど、
遠くてレッスンにこれないって方もいるんですよ。
例えば北海道、沖縄はもちろんこれないと思いますし、
もっと言っちゃうと東京でも来れない人いるんですよね。
ということで、レッスン来れる人ほぼ限られているので
レッスンに来れなくても
またご両親が陸上競技に詳しくなくても、
自分の走り方がうまくなかったとしても、
これやっとけばとりあえず足速くなるよシリーズ第2弾ですね。
前回はバウンディングの話しました。
何を話したかというと、「走りとはジャンプと落下の繰り返し」という話でした。
歩きと走りは違うもんだよと。
「歩きはどちらかの足が必ずついてるけど、
走りは両方浮く局面があるよ」という話をしたわけですね。
なので
走りはジャンプの繰り返し
▼
脚を速くするにはジャンプ力を鍛えれば良い
▼
ジャンプ力を鍛えるにはバウンディング
という構図です。
そして肝心のバウンディングの練習方法はこれです。
で、走りの練習方法に関してもそういう内容がやっぱ欲しいじゃないですか?
みなさんとしては。
今回はこの無茶なご要望にお答えします!
牽引ベルトは市販薬みたいなもの?
僕が子供が走るの見て、

内川
これこれこうすれば治りますよ!
って言って

内川
ああ、治りましたね。
これ、続けてくださいね
って言うのって確かに効果はめちゃめちゃあるんですよ。
例えるなら「風邪引いたら病院に行って医者に診断してもらう」
みたいな話じゃないですか?
なんで今自分が体調が悪いのか。
それを原因究明して応急薬を出してもらう。
症状を改善するにはそれが一番効くとは言え、
ご両親は医者じゃないからわかんないですよね?
なのでこれだけやっておけばとりあえず効くという
市販薬みたいなものをお伝えします。
「ちょっとだるいなあ」だったら「葛根湯飲めばいいですよ」とか、
「腰が痛い」となったら「湿布貼ればいいですよ」みたいなもんで、
誰が使っても同じ様な効果が得られる様なものってある
薬のような話をしていきたいと思っています。
で、器具が必要なんですこれ。
僕もレッスン中使ってるんですけどAmazonで2000円くらいで買えるんですね。
なので子供の足が速くなるために2000円と思って
ぜひとも投資してほしいんです
(値上げして3000円になっておりました…)。
何かっていうと『牽引走』ってやつです。
牽引ベルトとは?
この、変身ベルトみたいなのをつけるわけですね。
で、この変身ベルトでビリビリってマジックテープでつけるんですけど、
変身ベルトがあって後ろにフックがついてるんですよ。それを引っ張る。
今この牽引走ベルトについて説明したんですけど、
それはちょっとナンセンスだってことに気づいて
実は持ってきました。
でこれがそのベルトですね。
まずどうなっているかって言うとここがベルト部分。
でマジックテープになってて後ろから金具が出てます。
なので 使い方としてはここ通して、
まあこの変身ベルトみたいなのを巻くんですよ。
こうするとこっちが後ろです。腰です。で、こっちがお腹側。
だからこっちに進んでいくってことですね。
で子供にこれつけて、お腹のとこでつけるんですよ。腰骨のところで。
これで後ろから紐が伸びていて最後、後ろがハンドル部分になっている。
これをこう持ってあげると引っ張れるわけですね。
腰のとこ引っ張れるわけです。
多くの子供は前傾姿勢をとれない
で、子供の走りを見ているとほとんどのお子さんが
前傾姿勢とれないんですよ。
スタートの時に前傾姿勢が取れない。
「ヨーイ、ドン」ってなると
ヨーイの体勢ではこうやって前傾姿勢になってるんですけど、
「ヨーイ、ドン」ってなった時にすぐこうやってみんな
起きて走っちゃうんですね。
ただ例えばすごいレースじゃなくても、
普通に高校生とか中学生の男女の100メートル走を見てみると
スタートってスターティングブロックからクラウチングスタートの
低い姿勢から出て結構前傾でいくわけですよ。
例えばこれは適当に拾ってきた全中100m予選です。
中学生でも30mくらいまで前傾で走り、
そこから体を起こし始める。と。
何で?っていうと前傾姿勢だとです。
体が前に倒れるんで使う筋肉がこうやって起きて走ってる時と違うんです。
前傾姿勢でつかう筋肉は?
どこ使ってるかって言うと太ももの前。
前の大腿四頭筋っていうところです。腰から膝までのところ。
大腿四頭筋って分かると思うんですけど、膝上の筋肉ですね。これって強いんですね。
なぜなら下半身の筋肉って基本的に大きいんですが、
前、それから後ろ、それから腰の筋肉。
この3つの筋肉が特に大きいです。
この前の大きい筋肉を使うと、
より重心を低くでて加速して行けるわけですよ。
なんですけど 物理的にも生物学的にも
前傾姿勢で100m走りきる事ってまず無理なんですね。
なぜなら1つの筋肉ってMAXで6秒とかしか動かせないんですよ。
なので途中で体を起こして走んなきゃいけないわけなんですね。
(この8レーンの選手みたいにまれに走れる人もいます。
本インハイチャンピオンですが、めっちゃよく肉離れしてました…。)
ですが初めのスタートの時は低い姿勢からがーって出たほうが速いわけです。
ただ子供ってまだ足細いし怖いんですよ。
なのでそのままやっても前傾姿勢取れないんですね。
前傾姿勢を定着させるためには?
で、よく僕は前傾姿勢取れない子に対して

内川
じゃあ坂走ろう!
っていうんです。
坂だと前傾姿勢じゃないと進まないんで。
だけど、それでもできない子は結構います。
その子のためにこの牽引走のベルトを買いました。
理由は

ご両親
これ一見すると後ろから引っ張るんで根性練なの?
っと思われるかと思うんですが、根性練じゃないです。
根性練じゃなくて後ろから引っ張るということは、
勝手に前傾姿勢になるんですよ。
基本的に小学生は正しく前傾姿勢がとれません。
十中八九こうなります。

正しい前傾は頭-肩-腰-後ろ脚の膝-後ろ脚のかかとが一直線になります。

で間違った前傾の腰を後ろから引っ張ると、勝手に真っ直ぐになります。

進もうとするうちに進もうとすると頑張って体は前に倒します。
でも、腰は後ろに引かれます。
なのでまっすぐ引っ張ってあげれば
うまい具合に前傾姿勢になるんですね。
牽引ベルトとは? (再掲)
なのでこれは何かって言うと
前傾姿勢で矯正して走るための器具です。
もう一回言いますよ?
前傾姿勢で矯正して走るための器具です。
なので根性練じゃなくてフォーム矯正の器具なんです。
しかもこれって引っ張るだけなんで余計な知識いらないじゃないですか。
後ろから軽く引っ張ってきて頑張って前に進め、
脚あげて手振って頑張って前に進め、
って言ってあげれば解決するわけですよ。
つまり難しい説明とかいらないわけです。
なので陸上知識ない人でも自分の走りが遅い人でも、
子供と一緒に足を速くする練習ができる器具ってことなんですよ。
使い方としては簡単で子供にベルトつけて、
これって大人も使う用なんで
結構マジックテープが緩くに作ってあるんですね。
なのでもし一番奥まで巻き付けてもちょっとくっつかないという時は
タオルとかお腹に挟んであげて、
ボリュームを増して上げると良いです。
効果的な牽引ベルトの使い方
スタート、距離でいうと20mぐらいでいいと思うんですね。
なので、20mのとこに目印をおいてスタートラインに子供立たせます。
後ろまで紐引っ張ってピンと張った状態からスタートしてください。
途中たるんでる状態からスタートすると初めがーって加速するんですけど、
いきなり後ろにボンって引かれるんでちょっと転んだり危ないんで、
引っ張った状態で初めから負荷がかかるようにしてあげてください。
で、よーい、バンで出します。20 m走ります。
20 m 走るのを3本ぐらいやって、
前傾姿勢で走れるようになってきたら
その後プラスで30 mぐらいそのまま走らせます。
そのまま走る30m区間はハンドルを少し緩めて、
親がもっとスピード上げて子供に追いつき負荷をなくしてあげるんですね。
そうすると一気に負荷がなくなってバーっと走れるってことです。
そのまま前傾姿勢で走ってもらうわけですね。
なので20m負荷をかけつつ前傾で走って
20mを過ぎたら残り30mは負荷を緩めて
そのままバーって走ってもらうと。
これを2本、3本やったあとに、
最後にこのベルト自体とって50 m前傾、
まあ50 m前傾で行くのは実質無理なんで、30mとかにして

ご両親
この負荷(ハーネス)をかけないから
そのまま前傾で走れるかな?
と言って2、3本やってあげるとうまく走れる可能性があります。
で、もちろん1回じゃフォーム治んないんで、
これを週に1回くらいやってあげると
スタートが上手になるんじゃないかな?と思います。

なので陸アカのレッスン来れない、遠くて来れないっていう方。
他にも「自分で走りを子供に教えるのは難しそうだ」という方は
ぜひともこの牽引走ですね。
このベルト本当に3000円とかで買えるんで 買って、
公道でやると危ないんで公園とかでですね。
50mあればできるんで後は公園見つけて牽引ベルトつけて、
20m走らせて、できたら20m走った後に緩めて30m走って。
で、それもできたら始めから30mそのままダッシュさせる、ということですね。
そういうのをやってあげると
陸上知識ゼロで正しいフォームが身につけられます。
こんな方におすすめ
ということなので運動会を間近に控えているお子さんでしたり、
まあ運動会なくても、もっともっと子供が足速くなりたいって言ってるとか、
運動会で負けちゃったから来年は頑張ろうって言ってるって方は
是非ともやってみてほしいなと思います。
まとめ
【今日のまとめ】
手っ取り早く、なおかつ知識がなくても子供の足を速くするには
牽引ベルトを使って
前傾姿勢を身に着けさせることである!
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