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短距離・跳躍選手が有酸素運動をすると筋肉が減って速筋が遅筋に変わる

※2023/10/01にサイト改修を行ったためデザイン等崩れている箇所がありますが、順次修正予定です。

冬季練習や体力をつけたいときに頼りがちなジョギングですが、あなたがスプリンターないしジャンパーだった場合には控えたほうが懸命です。
理由は有酸素運動は筋肉を減らし速筋を遅筋に変えるからです。
今回は短距離、跳躍選手が体力をつけるために取り組むべきことを解説します。


目次

本日の質問

こんにちは、陸上アカデミアの内川です。

今日は短距離選手がジョギングをするべきか?という質問です。

[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2019/01/c4fc4680e68b3b317ed2c664c8955517.png” name=”悩める相談者”]陸上をやっています。
短距離なのですが体力をつけたいです。

そこでスロージョギングをやろうと思っています。
1日30分くらいやるつもりですが効果はありますか?

[/lnvoicer]今日はこの質問に回答していきます。

まとめると

  • 短距離専攻
  • 体力をつけたいので30分程度のジョギングを行おうと思っている
  • 意味はあるか?

ですね。

ではここから回答していきます。

結論

【今日の結論】
ジョギングをしても筋持久力はつかない上に、筋肉が減るからやめたほうがいい。

今回の記事は冬季練習に取り組んでいる人全員に読んで欲しい記事なので、部活のメニュー決めの際に参考にしてみてください。

スプリンターが伸ばすべき持久力は筋持久力だからジョギングはいらない!

まず結論で述べましたが、[keikou]スプリンターが全身持久力を伸ばしてもスプリント能力は向上しません[/keikou]。
では全身持久力と我々が伸ばしたい持久力は何が異なるのでしょうか?

我々が伸ばしたい持久力それは筋持久力といい、ジョギングで鍛えられる全身持久力とは異なります。
ここから先は筋持久力と全身持久力は何が異なるのかについて解説していきます。

まず[keikou]100m走と400m走ではエネルギー機構が異なります[/keikou]。
エネルギー機構というものはどこからエネルギーを得ているかの違いです。

[keikou]長財布なのか小銭入れなのか電子マネーなのかクレカなのかといった違い[/keikou]です。

全力で運動を継続した場合のエネルギー機構の遷移を表した表はこちらです。

機構名 継続時間 運動例 エネルギー源
ATP-クレアチンリン酸(CP)機構
(非乳酸性機構)
約10秒 100m、走り幅跳び クレアチンリン酸
乳酸性機構 1〜2分 400m、800m グリコーゲン(解糖系)
有酸素機構 3分以上 1500m以上 グリコーゲン&脂肪

下図のようにあなたの中にもいくつかのエネルギー機構が存在し、運動継続時間と運動強度によって使い分けています
つまり100mや幅跳び、筋トレならATP-CP経路、400mやインターバルトレーニングなら解糖系、アップのジョギングでは有酸素機構のようにです。

そして各々の[keikou]エネルギー機構は絡み合いながら使われますが、鍛えるのは別々[/keikou]だということです。
ATP-CP機構も解糖系も有酸素機構も訓練によって持続時間や強度は上がりますが、鍛えたい機構を使わないと鍛えることは出来ません。
もっと簡単にいうとダッシュばかりやっていても1500mは速くならないということです。

これは科学的に解明された内容です。

これらの事実からわかることは、短距離走における持久力をつけたいのに30分ジョギングをすることはなんの意味もないということです。

→【スプリント能力を上げたいならクリーンの記録を上げろ!

こんなにある!スプリンターから見る有酸素運動の弊害!

ここまでで短距離走を速くするのにジョギングは必要がないということはお伝えしましたが、さらに衝撃の事実をお伝えします。
それは有酸素運動はスプリンターにとってマイナスであるということです。
マイナス要因としては次の3つが挙げられます。

  1. 長時間の有酸素運動は筋肉を減らす
  2. 速筋が遅筋に変化する
  3. コルチゾールの増加

です。

それぞれ見ていきましょう。

【衝撃の事実1】有酸素運動は筋肉を減らす!

これが最も衝撃的な事実ではないでしょうか?
そう。
ある条件で有酸素運動を続けると筋肉が減ってしまいます。

筋肉が減る理由はエネルギーになってしまうから

どういうことかというと、エネルギーの生成源に問題があります。
はじめに使われる[keikou]ATP-CP経路は体内のクレアチンリン酸とADPという物質をリサイクル[/keikou]して使います。
つまり原料を必要とはしません(厳密には使いますが今回は無視します)。

一方[keikou]乳酸機構と有酸素機構はグリコーゲン、それから脂肪をそのまま分解してエネルギーにします[/keikou]。
その際エネルギーになるのは

  • グリコーゲン
  • 脂肪
  • 筋肉

です。

グリコーゲンは肝臓で最大120g、筋肉で300gしか貯め込むことは出来ません。
それ以上のエネルギーが必要になると脂肪、それから筋肉が分解されてエネルギー源として消費されます。

つまり毎日のように部活で練習していて、通常のアスリートレベルしか体脂肪がない場合。
その状態でジョギングを長時間してグリコーゲンが枯渇するとします。
すると残りの使えるエネルギー源は「筋肉」しかありません

とすると、[keikou]今出力を上げるために必死で筋トレをして、やっとのことでつけた筋肉がエネルギー源として消費されてしまう[/keikou]ということです。

つまり短距離走のタイムを上げたい人が長時間のジョギングをすることによってプラスは0で、マイナスしかないということです。

ボディビルダー、フィジーカーは減量中もめったに有酸素運動はしない

この内容に[lnvoicer icon=”https://rikujou-ac.com/wp-content/uploads/2018/12/1022298.png” name=”悩める相談者”]ホントかよ!??[/lnvoicer]と思う方もいるかと思います。
そんなあなたにはこの事実をご紹介します。

世界で一番筋肉と食事の知識があり、その知識を実践しているボディビルダーたちの意見なら参考になるでしょう。

僕の考えでは、筋量を増やそうとしているボディビルダーは、有酸素運動をするべきではありません。
フィジーク・オンライン

TAKEは一切、有酸素運動をせずに体脂肪率を3%代まで減量しているみたいです
BODY HACK

「フィジーク 有酸素運動」でググってみるとこのような文が見つかります。

また内川は陸上競技以外にも男性向けにボディメイク事業も行っておりその関係でベストボディに出場するような選手とも知り合いですが、やはり皆有酸素運動ではなく食事内容を変更して体重を調節しています。

理由は一様に「有酸素運動は筋肉が減るから」です。

メカニズムは先程お話したように筋肉を分解してエネルギーにしてしまうからです。
専門用語で「カタボリズム(カタボリック)」というので気になる方はググってみてください。
スプリンターが有酸素運動を行うことがどれほど愚かなことかがわかるかと思います。

ちなみに[keikou]テレビで見かけるマラソン選手が皆一様に細いことからも、有酸素運動は筋肉を減らす[/keikou]ことがわかると思います。
あれは食べなかったり筋トレをしないから細いのではなく、ランニングで全てエネルギーに変わってしまうから細いのです。

また、しばらくしたらカタボリズムに関する記事も書こうと思います。

→【陸上選手にベンチプレスはいらないというのはウソだ!

【衝撃の事実2】速筋が遅筋に変化する!

あなたは筋肉には2種類(厳密に言うと3種類)あるのをご存知でしょうか?
白色をした速筋と赤色をした遅筋です。

速筋 遅筋
用途 瞬発系の動き 持久系の動き
出力 高い 低い
持久力 ない ある

ダッシュやジャンプで使うのは速筋ですし、これらのトレーニングで鍛えられるのも速筋で理にかなっていますが、そこに真逆の有酸素運動を取り入れると筋肉が遅筋に変化してしまうのです。
すると持久力は得られ(筋肉が疲れづらくなり)ますが、代わりに大きな力を発揮することはできなくなります。

ただこれ、生物的に考えれば当然ですよね?

長く走る必要があるから筋肉が長く走れるように最適化されただけです。
[keikou]短い時間で大きな力を発揮したいのであれば、短い時間で大きな力を発揮するトレーニングを行うべき[/keikou]なのです。

→【スプリンター・ジャンパーは速筋を鍛えるトレーニングだけしろ!

【衝撃の事実3】コルチゾールが増加する!

この記事を読んでいるあなたはコルチゾールというものをご存知でしょうか?
ほとんどの方には馴染みがないものかと思います。
ではアドレナリンはご存知でしょうか?
こちらは知っている方が大半かと思います。

この2つはどちらも「ホルモン」と呼ばれる調整因子です。
他にも[keikou]セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンやオキシトシンなど体内には多くのホルモンが存在し、今現在あなたの身体でも働いています[/keikou]。

コルチゾールはストレスに応答する、ストレス応答ホルモンと呼ばれている因子です。
その名の通り外界からのストレスに応答して作られるホルモンです。

つまりコルチゾールが多いということはストレスにさらされているということです。
ストレスは適量なら身体に良い影響を与える一方、長期間過剰なストレスにさらされると心身に異常をきたしてしまいます。

コルチゾール値が高いということは身体がストレスに晒された状態であり、そのストレスに対抗するために身体はより多くのエネルギーをそこに向かわせなければなりません
すると身体の回復も遅れますし、コルチゾール自体が筋肉を分解してエネルギーを得る働きをします。

そして有酸素運動をやりすぎるとこのコルチゾール値が上昇します。

つまり[keikou]回復は遅れるし筋肉減るしで本当にいいことない[/keikou]のです。

→【背筋を鍛えたい?それならデッドリフト一択です。

スプリンターならジョギングではなくレペテーションをしろ!

ではスプリンターが体力をつけるにはどんな練習をすればよいのでしょうか?

結論から述べるとレペテーションインターバル)です。
スプリンターがつけるべき持久力とは全身持久力ではなく、筋持久力です。

このあとはショートスプリンター、ロングスプリンターに分けて鍛えるべき能力をお伝えします。

ショートスプリンターの鍛え方

[keikou]100m、跳躍、投擲選手は基本的にATP-CP系しか使いません[/keikou]。
理由は乳酸性機構が導入される前に運動自体が終了するからです。

なので彼らがすることは[keikou]10秒以内でフルパワーを発揮し、かつそれを何度も繰り返す練習[/keikou]です。
冬季練習で取り組むのであれば[keikou]50~80mのインターバルや120m~200mのセット走[/keikou]が良いでしょう。

また「跳躍選手に300m走がいるか」というのは非常に難しい問題ですが、現時点での私の結論は「いらない」です。
理由は300mは乳酸性機構を導入しますが、走り幅跳びでATP-CP系で運動が完結するからです。

ただやはりパフォーマンスの高い選手はある程度走れるものだと思うので、0でよいかと言われると難しい問題だと思います。
しかし優先順位は高くないでしょう。
私が今冬季練習をやるなら、300mのセット走に時間を割くより、ウエイトトレーニングに時間を割きます。

ロングスプリンターの鍛え方

これは間違いなく乳酸性機構をゴリゴリいじめるトレーニングです。
200m、300mを交えたセット走はもちろんですが、非乳酸性機構も鍛えなくてはいけません

なので[keikou]自分が走る距離を分割するレペテーションがオススメ[/keikou]です。
一度走ってエネルギーが枯渇している状態で再度加速する必要があるので、非常に効きます。

こうして触りの知識が増えるだけでも考えなくてはならないことはたくさんあります。
なので陸上選手はもっともっと自分の身体のこと、筋肉のことを勉強しましょう。

→【陸上競技の記録を上げたいなら練習量ではなく知識量を増やせ!

まとめ

【今日のまとめ】
スプリンターがロングジョッグをやる必要はない。自分に必要な持久力を見極めてトレーニングしよう!

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